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8年前のトレードの再現!? 赤靴下が白靴下からエースを獲得。前回はそこからワールドシリーズ優勝

宇根夏樹ベースボール・ライター
ギャレット・クローシェイ Sep 20, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月11日、ボストン・レッドソックスは、4人のマイナーリーガーと交換に、シカゴ・ホワイトソックスからギャレット・クローシェイを獲得した。

 8年前にも、同じようなトレードがあった。2016年12月6日のことだ。レッドソックスは、ホワイトソックスに4人を放出し、クリス・セール(現アトランタ・ブレーブス)を手に入れた。ホワイトソックスへ移籍した4人のうち、マイケル・コペック(現ロサンゼルス・ドジャース)ら3人はメジャーデビューしておらず、あとの1人、ヨアン・モンカーダ(現FA)も9月にデビューしたばかりだった。

 セールとクローシェイは、どちらも、身長6フィート6インチの左投手だ。ドラフト順位は、2010年の全体13位と2020年の全体11位。ホワイトソックスに指名され、その年にメジャーデビューした。

 最初の数シーズンは、2人とも、ブルペンからマウンドに上がった。先発投手としての1シーズン目は、セールが2012年に192.0イニングで奪三振率9.00と与四球率2.39、防御率3.05とFIP3.27。クローシェイは、2024年に146.0イニングで奪三振率12.88と与四球率2.03、防御率3.58とFIP2.69だ。

 FIPは、フィールディング・インディペンデント・ピッチングの略。ざっくり説明すると、守備の要素をできる限り排除した防御率だ。

 移籍後のセールは、最初の2シーズン(2017~18年)に372.1イニングを投げた。このスパンに300イニング以上の62人中、セールの奪三振率13.17は最も高く、与四球率1.86は5位、防御率2.56は3位に位置し、FIP2.25は最も低かった。レッドソックスは、セールが加わる直前の2016年から、3シーズン続けて地区を制し、2018年はワールドシリーズ優勝を飾った。

 レッドソックスは、クローシェイにも、エースとしての投球を期待しているはずだ。2021年のワイルドカードを最後に、レッドソックスは、ここ3シーズンともポストシーズンにたどり着くことができていない。1995年以降、4シーズン続けてポストシーズン進出を逃したことは、一度もない。

 なお、トレードの時点で、セールは5年3250万ドル(2013~17年)の契約4年目を終えていたが、そこには2018年と2019年の球団オプションがついていたので、3シーズン(2017~19年)保有することができた。レッドソックスは、2度ともオプションを行使し、2019年の開幕前に5年1億4500万ドル(2020~24年)の延長契約を交わした。

 クローシェイは、このままいくと、あと2シーズン後、2026年のオフにFAとなる。レッドソックスは、今オフか来オフに延長契約、と考えているのではないだろうか。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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