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〝絶対に〟予約を取らない名店が新宿に! ポリシーは「みんな平等に焼鳥を」【鳥はな/東京】

今回、冒険するのは東京都新宿区新宿の焼鳥屋「鳥はな」。創業1985年。花園神社のそばで昭和、平成、令和を見つめてきた、新宿を代表する名店だ。その魅力はなんといっても大ぶりでパンチのある味付けの焼鳥の数々。大将が体調を崩して引退した後も、女将さんが一人で仕込みをして焼き場に立ち、接客を続けている。新宿の焼鳥遺産ともいえる店だ。

暖簾が上がるのは毎夜18時ちょうど

オープン直前
オープン直前

「鳥はな」の暖簾が上がるのは毎夜18時ちょうど……。予約は一切受け付けていないこともあり、10分前にはちらほらと列がつき始めていた。とはいっても10席にも満たない小さな店だ。1巡目に間に合わなければ、次のチャンスは間違いなく19時以降になってしまう。

この日は気が急いてしまったか、まさかの一番乗り。それはそれで落ち着かないのだから不思議なもんだ。訪れるのは久しぶりなこともあり、焼き場がよく見える奥の席に座ることにした。

焼鳥は8本コースが基本。アラカルトもあるにはあるのだけど、ただでさえ女将さんの一人営業なので、空気を読んでコースにするのが暗黙の了解。「好きなように食べたい」という気持ちも分かるけれど、こういう店に来たなら「郷に入っては郷に従え」だ。早速、瓶ビールを頼み、漬け物を肴にまったり。

ちなみに、壁にはネタの木札がかかっているものの、この順番通りに出てくるわけじゃない。今はだいたい、しそ巻から始まるのが定番。そうそう、〆に焼きおにぎりを食べたいなら「最初に注文」を忘れずに、だ。

クセ強のベーコン巻もやみつき

シソ巻
シソ巻

ニンニク芽巻
ニンニク芽巻

1本目はやっぱり、しそ巻から。塩がパチンと効いて、ビールもくいくい進む。2本目は、強烈な香りを放つにんにくの芽にベーコンを巻いて打ったニンニク芽巻だ。

これこれ。このインパクト! 「鳥はな」のネタはとにかく、ビールが合う。もちろん日本酒や焼酎もあるけれど、ついつい、瓶ビールを頼んでしまう。小さなグラスを傾けながら、パンチの効いたネタを摘まむ。うん。それが「鳥はな」の正しい姿(と、勝手に思っている)。

これまたクセ強なオクラ巻
これまたクセ強なオクラ巻

ツクネ
ツクネ

大場を巻いたつくねは、見た目以上にあっさり。パンチのあるベーコン巻が2本続いたものだから存在感はやや薄まるものの、こういう、コースに緩急を生むネタも大事。

口直しには漬け物を
口直しには漬け物を

名物はフランクフルトのような皮

カワ
カワ

待ちに待った名物串、皮。焼く前の串のポーションは優にフランクフルトを超える特大サイズだ。それだけに、1本目のしそ巻を焼くのと同時に焼き始める手間のかかりよう。

じっくり、じわじわ。じっくり、じわじわ。時折返しながらまんべんなく火が通るよう焼き上げていく……。水分が抜けて焼き縮んでも、目を見張る大ポーション。外はこんがり、中はとろりとして、もうたまらない。

「お好みで豆板醤を付けて食べてね~」と女将さん。そうそう、この皮は豆板醤で〝味変〟する楽しみがあるんだ。繊細さとは無縁。このハードでジャンキーな焼鳥がどうにも、くせになる。きっと同じように感じている常連さんも多いはずだ。

大迫力のレバーに、ふっくらさび焼き

レバー
レバー

サビヤキ
サビヤキ

串も終盤に差し掛かったところで特大のレバー! 指先にのしかかる重みといったら……。このポーションのレバーがよく焼きだとキツいところだけれど、これはふっくらとして、見た目以上に食べやすい。

さび焼きはあらかじめ、わさび醤油がべったり。それでいて、ふっくらとした仕上がり。うーん。先のレバーもそうだけれど、昔、大将が焼いていたときよりも火入れが「優しい」印象。それとなく女将さんに聞いてみれば……

「そうなのよ。他のお客さんにもよく言われるの。物足りなければいいのだけど」

ここまでジャンキーな手羽がある?

手羽
手羽

早いもので、最後の8本目。皮と並んで楽しみにしているのが、この手羽だ。もちろん、このあとに串を追加することもできるのだけど、8本で充分、満たされてしまう。

焼鳥屋にとって手羽は欠かせず、〆を飾ることも多いネタ。ただ、「鳥はな」以上に強烈でジャンキーな手羽にはいまだかつて出合ったことがない。

その秘密は仕込みにあり。たっぷりと〝にんにくまみれ〟にしてから焼き上げるので、噛んだ瞬間のインパクトがまったく違う。ぶわっと広がるにんにくらしい香味。いやぁ、何度食べても強烈!

〆は焼きおにぎりで
〆は焼きおにぎりで

20時をまわるともう、新規で客を入れることは少なくなる。気ままに飲んで、でき上がった客同士で自然と盛り上がることもしばしば。焼き場が落ち着くと、女将さんも話の輪に入ってくる。

まるで行きつけのスナックに来たかのような一体感。食べて、飲んで、今日会ったばかりの人とも語り合って……。そういう古きよき酒場の匂いが残っているんだ、ここは。あと何年味わえるかは分からないけれど、きっと、最期の日まで行列が絶えないんだろうな。

どんな金持ちだろうと政治家だろうと芸能人だろうと、絶対に予約は取らない。みーんな平等に並んでもらう。あの人はいないけれど、これだけは変えちゃいけないと思っているの」

大将はもういないけれど、女将さんが二人分、がんばっている。そう思うと、ぐっとくるなぁ。

▼冒険のおさらい

①予約不可。18時ならほぼ確実

②8本コースを頼むのが暗黙の了解

③ジャンキーな皮と手羽が名物

店舗情報
【店名】鳥はな
【最寄り駅】新宿三丁目駅
【住所】東京都新宿区新宿5-18-18
【予約】不可
【定休日】土曜、日曜
【串のアラカルト】一応あり
【コース(セット)】あり

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