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【東京/西荻窪】うまい焼鳥とラーメン屋顔負けの軍鶏そば!イケメン店主が手がける穴場

今回冒険するのは、東京都杉並区の焼鳥屋「焼鳥 山崎」。最寄りは西荻窪駅。駅周辺は飲み屋やラーメン屋、雑貨屋など個性的な店が集い、町全体から「ニシオギ」というカルチャーが匂い立ってくるよう。このあたりで焼鳥といえば大衆店が多いなか、1年前、ひっそりと実力派の焼鳥屋が生まれていた。

〝ニシオギ〟らしくない焼鳥屋?

西荻窪駅を南口に出てほどなく。路地に入ると「焼鳥 山崎」の看板が見えた。2階に上り店に入ると、照明をぐっと落としたシックな空間が広がっていた。焼鳥というと和のイメージがあるものの、ここはまさにバーの雰囲気といったところ。古き良き昭和色を残す〝ニシオギ〟でこういう造りの焼鳥屋は珍しい。

さっそくカウンターに座り、メニューを目でなぞる。焼鳥コースは「ひとまずコース(3630円)」「山崎定番コース(4400円)」「山崎ひとそろえコース(5500円)」の3種(2024年4月現在)。20時以降はアラカルト注文でもいいようだけど、せっかく腹を空かせて臨む焼鳥の夜。「山崎ひとそろえコース」に決めた。

しっとりとした鶏の煮こごりから

むね肉の煮こごり
むね肉の煮こごり

「山崎ひとそろえコース」はまず、むね肉の煮こごりから。ふっくらとした肉にジュレのような煮こごりがとろりからんで、コクを感じながらもさっぱりと。クコの実の控えめなニュアンスも愛らしいじゃないか。

今どきの焼鳥屋のフルコース、それも地鶏となると、前菜に鶏のたたきが出ることも多いものだからこれは新鮮。なによりビールにも合うしで、言うことなしだ。

ふりそで
ふりそで

さぁ、肝心の焼鳥は遠州一黒しゃものふりそでから。豊かな弾力と甘やかな脂。ふりそではむね肉と手羽元の間に位置する部位で、しっとりとした肉質と甘い脂が味わえる希少部位だ。

噛むほどにジュワッとあふれる肉汁。まぁ、それがうまいのなんの。これはいい出だし。

ハツ
ハツ

続いては、ハツだ。開いているとはいえ、これはなかなかの大ぶり。噛めばぐっと跳ね返るような弾力。濃いうまみと、ほのかな野性味。「これは雄鶏?」と思ったら、それが大正解。店主の山崎さんによると……

「銘柄鶏やホロホロ鳥も扱っているのですが、遠州一黒しゃもは〝雄鶏だけ〟なんです」

地鶏を扱う焼鳥屋のほとんどは、脂がのりやすく肉質のやわらかな雌鶏を扱うものだけど、味が濃く弾力に富んだ雄鶏ときた。やわらかな銘柄鶏との対比にもなるし、こういう力強い地鶏を味わえるのも「山崎」の魅力なんだろうな。

遠州一黒しゃもの、濃さが前面に

すね
すね

そして、もも肉の下側にあたる「すね」。すね肉は筋肉質でうまみの塊ともいえる部位で、その筋をていねいに取ってミルフィーユのように重ねた手間のかかる1本。

すね肉はもも肉に比べると弾力が強い。とくに地鶏となると、玄人好みの味わいなんだけど、噛むほどにあふれるうまみはやみつきになる。この軍鶏攻め、たまらないなぁ。

えんがわ
えんがわ

「遠州一黒しゃものえんがわです」と山崎さん。お、ここで、えんがわ! 焼鳥でえんがわというと、砂肝の壁のやわらかい部分だけをかき集めて串に打った希少部位だ。

地鶏も雄鶏ともなれば砂肝も大きく成長する。そのえんがわはとにかく肉厚で、まるで牛のハツのような食べごたえ……。うまみも充分。いいねぇ。これに出合えたら、きっと幸運のしるし。

なめらかでスイーツのようなレバーパテ。これなら誰にも食べやすい
なめらかでスイーツのようなレバーパテ。これなら誰にも食べやすい

玉子のカラスミをかけた芽キャベツ。ほのかに甘い風味がアクセント
玉子のカラスミをかけた芽キャベツ。ほのかに甘い風味がアクセント

しっかり味を付けた手羽の燻製。これは間違いなく酒に合う
しっかり味を付けた手羽の燻製。これは間違いなく酒に合う

美しいねぎまに、濃厚なレバー

ねぎま
ねぎま

レバー
レバー

野菜串や一品を挟んで、王道のねぎまが差し出された。1貫目はもも肉とねぎを皮で包み、さらに肉とねぎを交互に打って見映えよく仕上げた一品。やっぱり、地鶏のもも肉はうまいなぁ。その甘い脂を吸ったねぎも、立派なごちそうになるのだから。

一方、レバーはねっとりと濃厚な味わいながら、くせがなく食べやすい。こういうレバーなら、コースの前半よりも後半に食べるほうがうまい。流れをしっかり意識した組み立ては、さすがといったところ。

最後の串は力強さを備えたつくね

つくね
つくね

焼き台を見るとつくねが並んでいた。見るからにゴツゴツとして肉肉しく、まるで串に打たれたハンバーグのようじゃないか。これは、期待せずにはいられないというもの。

早速、アツアツを頬張ればギュギュッとした弾力と濃いうまみ。山崎さんによると、地鶏や銘柄鶏だけでなく、親鶏の肉も混ぜているのだとか。ふっくら系のつくねとは対極。これはパンチがあるなぁ。スタイリッシュな雰囲気ながら、やっていることはたくましい!

店主はラーメン好きの、さわやかイケメン

店主の山崎さんはまだ30半ば。都内の焼鳥屋で研鑽を積み、満を持して独立。当初は銘柄鶏だけを使っていたものの「地鶏の焼鳥を追求したい」と遠州一黒しゃもを使い始めたのだとか。

さわやかな外見ながら、ストイックでこだわりが強い人柄。それは焼鳥だけでなく、〆ものにもしっかり表れていた。

「学生時代からずっとラーメンが好きで、焼鳥屋をやるなら絶対出したかったし、食べてもらいたかった。だから、うちの〆は『軍鶏そば』と『冷やし鶏そば』しかないんですよ」

軍鶏そば
軍鶏そば

〆は待ちに待った軍鶏そば。遠州一黒しゃものガラに昆布や玉ねぎを加えて、何時間も煮込んだスープ。それをベースに、4種類の醤油を使ったかえしで味を調えた、軍鶏出汁の醤油ラーメンだ。麺は全粒粉を使ったパツパツ系。さすがは軍鶏というか、濃厚なうまみとコク! それでいてあと味はキレがよく、〆にふさわしい一杯に仕上がっている。

これは、やられた。抜群にうまいなぁ……。鶏スープの延長線のような仕上がりじゃない。もう、ラーメン屋顔負け。まさに、焼鳥屋ならではの軍鶏そばだ。

この軍鶏そんば、コースには含まれていないものの、追加料金(500円)を払えば鶏スープを軍鶏そばに変えられる。聞けば、常連客はほぼ変えるのだそう。「常連さんには、冷やし鶏そばも人気があるんですよ」と山崎さん。

……なんと。さすがに〆ものを2種食べる余裕はなかったけれど、再訪する理由ができてしまった。今年の夏も暑くなりそうだ。焼鳥を食べて、〆に冷やし鶏そば。んん。最高じゃないか。

コースの甘味がプリンというのもシンプルでいい
コースの甘味がプリンというのもシンプルでいい

▼冒険のおさらい

①目玉は遠州一黒しゃもの雄鶏

②〆の軍鶏そばはラーメン店顔負け

③20時以降はアラカルト注文OK

店舗情報
【店名】焼鳥 山崎
【最寄り駅】西荻窪駅
【住所】東京都杉並区西荻南3-10-2
【予約】03-6454-2992
【定休日】不定休
【串のアラカルト】あり(20時以降)
【コース(セット)】3630円~

毎週、焼鳥三昧! 焼鳥を斜めに逆さ撮りする〝ヤキトリスト撮り〟は元祖にして名刺代わり! 「焼鳥は串柄、人柄」をテーマに、大衆的で気兼ねない町焼鳥から、鶏にこだわり1本1本に心血を注ぐ専門店まで焼鳥まみれの日々を送っています。焼鳥好きの方、フォローよろしくお願いします!

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