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風雲急を告げる朝鮮半島情勢! 何かが起きる!?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
トランプ政権下での米朝首脳会談(朝鮮中央TVから)

 朝鮮半島情勢が慌ただしくなってきた。風雲急を告げるような動きがある。

 今日(18日)からワシントンで外務省の船越健裕アジア大洋州局長、米国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表、魯圭悳(ノ・ギュドク)朝鮮半島平和交渉本部長による日米韓高官協議が行われる。

 協議は2日間にわたって行われるが、3か国協議とは別途に日米、米韓の個別協議も同時並行して行われる。3か国協議も2国間協議も9月14日に東京で開催されてまだ1か月しか経っていない。米韓の2人は9月30日にもインドネシアのジャカルタで会い、話し合ったばかりだ。

 盧本部長はまた、10月13日から16日まで訪露し、北朝鮮核問題担当のモルグロフ外務次官と会談し、その足で帰国せずにそのまま米国に直行している。

 盧本部長は中国とはすでにインドネシアで劉暁明・朝鮮半島問題特別代表首席代表とテレビ会談を行っていた。ソン・キム代表と会う前日(29日)のことである。

 盧本部長の訪露、訪米を前に韓国からは10月11日に国家安全保障室の徐薫(ソ・フン)室長がワシントンに入り、サリバン大統領補佐官と会談していた。南北間の通信線が復旧したことを踏まえ、北朝鮮を交渉の場に誘い出すための方策について論議されたと伝えられている。

 米情報当局者の相次ぐ訪韓も注目すべき動きである。

 徐室長の訪米直後、今度は米中央情報局(CIA)のバーンズ長官が電撃訪韓(15日)し、文在寅大統領や2000年の史上初の南北首脳(金大中―金正日)会談の仕掛け人である朴智元(パク・チウォン)国家情報院長と会談し、朝鮮半島情勢について意見交換を行った。CIA長官の訪韓は2017年4月のポンペオ長官以来、4年半ぶりのことである。

 そして、昨日(17日)は米政府の16の情報機関を統括する国家情報局(DNI)のヘインズ長官がソウル入りしている。CIA副長官を経て、トランプ政権下で大統領副補佐官(国家安全保障担当)を務めたヘインズ長官は実は5か月前にも訪韓していた。

 ヘインズ長官は今日にも朴智元院長と会談するが、日本から瀧澤裕昭内閣情報官も加わった非公開の三者協議も19日に予定されている。ヘインズ長官はバーンズCIA長官同様に文大統領とも会談する。

 朝鮮半島情勢が目まぐるしく動きだしたのは9月29日の北朝鮮の新型極超音速巡航ミサイル「火星8」の発射が大きな要因となっているが、同時に文大統領が国連総会でぶち上げた朝鮮半島終戦宣言も膠着した朝鮮半島情勢を動かすテコとなっている。

 そのことは、ロシアで文大統領の戦争終結宣言の意義を説明した後、訪米した盧本部長がダレス国際空港で終戦宣言について「朝鮮半島の完全な非核化、恒久的な平和定着に入る入り口となる意味がある」と述べ、「終戦宣言は対話再開の契機となる」と語っていたことからも明らかだ。

 しかし、非核化交渉の再開は対立状態にある米国と北朝鮮の対応にかかっていることは衆目が一致するところだ。

 その米国は北朝鮮に交渉再開のための「具体的な提案」を行っていたことを10月14日に明らかにしていた。米国務省のプライス報道官は記者会見の場で「我々は北朝鮮からの回答を待っている」と語っていたが、「具体的な提案」の中身については「語る立場にはない」と回答を避けていた。

 米韓ではこの提案の中身について様々な憶測が飛び交っている。

(参考資料:オバマ元大統領が「家康」でトランプ前大統領が「信長」ならばバイデン大統領は「秀吉」か!)

 金正恩総書記が11日の国防発展展覧会での演説で「米国は最近、我々に敵対的ではないという信号を頻繁に発信しているが、敵対的ではないと信じられる行動的な根拠は一つもない」と述べていたことから北朝鮮が交渉の場に出てくることを条件に▲北朝鮮が欲しがっているワクチンや食糧などの人道支援を約束した▲米韓合同軍事演習の中止を約束した▲国連安保理制裁の一部解除を約束した▲朝鮮半島終戦宣言に同意することを約束した▲トランプ政権下で交わされた米朝共同声明の順守を約束した▲北朝鮮が求める条件も話し合う用意があることを約束した等々が囁かれ始めている。

 米国はこれまで▲北朝鮮に敵対的な意図はない▲北朝鮮とはいつ、どこでも前提条件なしで話し合う用意がある▲北朝鮮が応じれば、交渉を柔軟かつ実用的、建設的に進めると明言しているが、同時に「(北朝鮮を)テーブルの席に着かせるためのインセンチブ(誘因策)はない」(ソン・キム代表)とも言っていた。

 米国の対応はそれ以上でも、以下でもない。米国が原則を曲げるとは考えにくいが、それでも何かが起きそうな雰囲気にあることだけは確かなようだ。

(参考資料:北朝鮮が米国との対話にも交渉に応じない理由 北朝鮮版「戦略的忍耐」)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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