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「愛の不時着」 14日で韓国での初放映から”ちょうど1年” 韓国報道に見る「その後」

日本も流行語大賞ランキング入りするなど高評価を得た(写真:長田洋平/アフロ)

韓流ドラマ「愛の不時着」の韓国での放映が始まって、14日でちょうど1年となった。

2019年12月14日、韓国のケーブルテレビ「tvN」で第1回の放送があり、2020年2月16日の第16回の放送で最終回を迎えた。

「土日ドラマ」という枠で、週末の21時10分から22時40分までの90分放映。「2日連続放映され、5日休む」という日々が約3ヶ月続いたのだ。

(ちなみにドラマPR映像の初公開は10月25日だった。「絶対極秘のロマンス」と紹介されている)

視聴率は放映回数を重ねるごとに尻上がりだった。2020年2月16日の最終回は韓国ケーブルテレビドラマ史上3位の21.7%を記録。

一方、2019年の12月14日の第1回は6%に留まっていた。ユン・セリ役のソン・イェジンとリ・ジョンヒョク役のヒョン・ビンという大物の共演は話題にはなったが、「北朝鮮を美化しすぎ」という批判もあったのだ。

10%を超え、ぐっと盛り上がったのは2020年1月8日放映の第8話(ク・スンジュンがセリに韓国に戻る方法を提案し、韓国でホンチーム長らが”会長”を電撃訪問する回)からだった。

また、2020年の1月4日、5日と1月25日がそれぞれスペシャル回として撮影中のオフショットなどが公開された。タイトな撮影スケジュールにより幾度か主役のソン・イェジンがダウン。撮影がストップしてしまったのだ。ちなみにこの3回の平均視聴率は3.65%だった… また結果として最終回放映日となった2月16日が「故金正日総書記の誕生日と重なった」という点も小ネタとして韓国のネット上でほんの少しだけ話題にもなった。

いずれにせよ、アクシデントも乗り越え、2020年1月には「韓国ギャラップ」の調査「韓国人が好きなテレビ番組(好きなドラマではなく、好きなテレビ番組全般!)」の1位に輝くなど、まずは韓国で大きな人気を得たドラマ。その後海外へと人気が広がっていった。

1年経った今、韓国でどう報じられているのか。探ってみた。

シンガポール、日本で評価 政治家も反響に驚き… 

1年後の今、まず韓国で一番目立つのは年末の海外での受賞に関するニュースだ。

7日にはシンガポールでアジア最高権威のコンテンツ年間表彰式「AACA(Asian Academy Creative Awards)」が行われ、「愛の不時着」はベストドラマシリーズ賞に輝いた。

オンラインでの表彰式で、演出を担当したイ・ジョンヒョ氏がこうコメントしている。

「(当初は)世界の多くの国でこんなに多くの方々がこの作品を楽しんでくれるかどうか分からなかった(以下略)」

改めて、この作品は「当初から世界市場を狙っていた」ということではなく、「あくまで韓国の市場で受け入れられること」をまずは念頭に置いていたことが分かる。

その一方で1日には、日本で『2020 ユーキャン新語・流行語大賞』(現代用語の基礎知識選)トップ10に「愛の不時着」が入った。この際の「出演陣、スタッフとともに喜びを分かち合いたい」というコメント内容は既知の通りだ。

『2020 ユーキャン新語・流行語大賞』後に感謝を伝えたヒョン・ビン
『2020 ユーキャン新語・流行語大賞』後に感謝を伝えたヒョン・ビン写真:長田洋平/アフロ

いっぽうで、11月中旬にはある人物の発言が注目を集めた。日韓議員連盟代表の韓国側の代表、キム・ジンピョ氏。11月中旬、韓国側から提起される諸問題解決の糸口を掴むために来日した。帰国後、メディア団にこんな感想も明らかにしている。

「様々な日本の議員たちが『愛の不時着』の熱風に言及し、”第2のヨン様”ヒョン・ビンに日本の女性たちがハマっているという。日本のネットフリックスでの最高の人気ドラマだとも」

「日本で会った(早稲田大学韓国学研究所招聘研究員)の李愛俐娥教授は日本社会の韓国のイメージと『地獄の北朝鮮』の固定観念を変えるにあたり、大きく寄与していると評価していた。韓流が外交であり、文化が国力であることを実感した」

まあセンセイの公人としての発言と大衆芸能はしっかり線引するべきでもあるが…まだまだ日韓の人の往来が制限されるなか、実際に韓国から日本に来てその反響に驚いた人物のリアルな反応ではあった。

セリ、スンジュンがそれぞれの場で

キャストたちもそれぞれの場で活躍している。

これまで、ヒョン・ビンソ・ダン役のソ・ジヘの様子はお伝えしてきたが、12月10日にはク・スンジュン役のキム・ジョンヒョンのニュースが報じられた。

「米フォーブス、キム・ジョンヒョンにスポットライト…『愛の不時着』でグローバルファンを集めている」

ここでは次回作「Mr. Queen」の撮影に臨む思いを口にしている。

「小さな慰めが必要な時期だと思う。しばしの間、笑っていただければ僕もこれ以上ない喜びです」

記事リンク:すべて英語です

メインキャストのソン・イェジン(ユン・セリ役)は、11月下旬に韓国で雑誌「ELLE」の撮影とインタビューに応じた。

(同紙公式アカウントより)

「愛の不時着」のユン・セリについて「かなりファンタジックな人物。他の誰が彼女のように行動できるだろうか、と思う」と、近況をこう綴った。

「『愛の不時着』の撮影を終え、本来なら一本撮り終えるごとに海外に言って頭をリフレッシュさせるんですが、コロナのために行けなくて…こんなに長くなるとは思っていませんでした」

「とはいえ、職業上普段から自由に歩き回るわけでもないので、コロナ禍の生活はこれまでと変わらない面もあります」

ソン・イェジンの「ELLE」でのインタビュー。オール韓国語だが…撮り下ろし写真は多数。

また「エクスポスニュース」は、連載記事「ある年のある日」で2019年12月9日に行われた「愛の不時着」の制作発表会見の様子を振り返った。「ヒョン・ビン、ソン・イェジン熱愛説」についてメディアが熱心に”突く”様子を振り返りつつ「両者の完璧な化学反応が輝いたドラマ」として作品を再評価した。

(了)

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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