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スーパーラグビーに挑むサンウルブス、始動。会見要旨【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真左から垣永、矢富、ハメットHC、カーク(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

南半球最高峰のスーパーラグビーに参戦する日本拠点チーム、サンウルブスが12月21日、都内で会見。チームのスコッド35名を発表され、マーク・ハメット新ヘッドコーチ(HC)が所信を述べた。

ハメット新HCは、現役時代にニュージーランド代表29キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を獲得。指揮官としての優勝経験はないものの、運営組織であるジャパンエスアール発行のリリースには「リッチー・マコウ、ダン・カーター、コンラッド・スミス(筆者注・以上、2011年、15年のワールドカップで優勝したニュージーランド代表)など数々の選手を育て上げてきた敏腕コーチである」とある。

サンウルブスのシーズン初戦は2016年2月27日のライオンズ戦(東京・秩父宮ラグビー場)。チームは日本選手権終了後の2月1日以降に集合する見込みだ。2014年夏に参戦が決まった同チームは、諸事情で準備を後ろ倒し。発表された35人の他に招集選手の追加も検討されている。

以下、会見要旨。

上野裕一業務執行理事

「ここに至るまでは解決しなくていはいけない課題がありました。(スーパーラグビーを運営する)SANZARからの有効なご助言をいただきながら、常に前向きな改善を図ってまいりました。

このチームには、大きく分けて2つのビジョンがございます。

ひとつは世界と勝負できるチームを作ることです。この事業の主たる目的は日本代表の強化でございます。我々はその体勢と轍(わだち)を一にしていきます。日本代表が2019年(ワールドカップ日本大会)もそれ以降も頂点を目指すチームであり続けるために、サンウルブスは世界と勝負し続けます。

もうひとつは世界中のファンに愛されるチームとなることです。1人でも多くの皆さんがスタジアムに足を運んでいただけることが、成功を意味します。多くのファンの方に、我々の思いを広く伝えて行ければと思います」

ハメット新HC

日本ラグビー界には125年という長い歴史があります。ワールドカップでも素晴らしい成績を納めました。19年にはそのワールドカップは日本にやってきます。最初のキックオフを楽しみにしています。

1996年、スーパーラグビーが始まった年に遡ります。現役だった私は当時、クルセイダーズにいました。いまは強いチームですが、最初は最下位だったんです。ただ、我々は苦労しながら後に成功を収める礎ができた。今回、サンウルブスのお話をいただいた時も同じようなことを思い、(オファーを)お受けしました」

――チームの方向性は。

「チームを形成するには時期が遅いので、最初にやらなければいけないのは選手たちを知ること、能力を観ていくこと、そのうえで、戦えるチームにしていくこと。

(スーパーラグビーでは)南アフリカカンファレンスで戦う。タフになるだろうが、日本代表は南アフリカに勝っている。その意味では相手にとってもタフになる。

大事なのは、日本のスタイルのラグビーをすること。速いこと、ウィットを使ったプレー、パッション、熱意…。セットピースがしっかししていないといいラグビーができない。それがチームのキーファクターになる。あとはどこのチームも一緒ですが、ディフェンスに対する要素が必要です。

チームのスピリット、システム、スタイルを信じることができる。それが礎だと思うんです。言い換えますと、新しいカルチャーを作り、選手、マネジメントスタッフの皆がそれを共有する。属していたいというチーム作りと、そのためのリーダーが必要です」

――日本代表との連携は。

「前進していくには必要ですが、我々にはやりたいことがある。全部が全部一緒というわけではない」

垣永真之介(プロップ、サントリー所属の23歳。2015年9、10月のワールドカップイングランド大会ではバックアップメンバー)

「スーパーラグビーは2019年に向けて素晴らしいチャンスをいただきました。チームとしても個人としてもいいチャンス。世界のトップレベルを感じながら戦えることを、幸せに思います。負けることが嫌いなので、必ず目の前の敵を倒す」

'''エドワード・カーク(元20歳以下オーストラリア代表、元レッズ)

'''

「マーク・ハメットさんを迎えられたことは嬉しい。コーチとしてキャリア豊富。過去スーパーラグビーでプレーしてきたが、ここから新しい経験ができる。期待を持ってチームを迎えたい。ラグビーも日本も楽しんでいきたい。まず日本の文化に溶け込む。特に、日本で行われる試合ではいいラグビーをしたい」

矢富勇毅(ヤマハ所属の30歳。ワールドカップイングランド大会ではバックアップメンバー。2007年の同フランス大会に出場)

「日本のチームに参戦できることは楽しみ。簡単にはいかないと思いますが、話にあった礎を築けるように。高い目標を持ってやらないとだめ。まずは開幕戦、集中して、その勝利に向かって行きたい」

山田章仁(パナソニック所属の30歳。ワールドカップイングランド大会に出場。会見後は写真撮影や囲み取材に応じず、退席)

「いまやらないといつやるんだという思いでスーパーラグビーに乗り込む。皆さんに注目していただいくなか、歴史を築くことでラグビーが大きなスポーツになる。負けてもいい試合はひとつもない。全力で、まずは決勝トーナメント進出を目指したい」

【スコッド】

左プロップ

稲垣啓太(パナソニック)

三上正貴(東芝)

山本光輝(ヤマハ)

フッカー

有田隆平(コカ・コーラ)

木津武士(神戸製鋼)

堀江翔太(パナソニック)

右プロップ

垣永真之介(サントリー)

具智元(拓殖大)

平野翔平(東海大)

ロック

大野均(東芝)

ティモシー・ボンド(―)

真壁伸弥(サントリー)

リアキ・モリ(―)

フランカー・ナンバーエイト

エドワード・カーク(―)

アンドリュー・デュルタロ(―)

トーマス・レオナルディ(―)

ファアティンガ・レマル(宗像サニックス)

細田佳也(NEC)

村田毅(NEC)

スクラムハーフ

井上大介(クボタ)

日和佐篤(サントリー)

矢富勇毅(ヤマハ)

スタンドオフ

立川理道(クボタ)

トゥシ・ピシ(サントリー)

田村優(NEC)

センター

デレック・カーペンター(トヨタ自動車)

パエア・ミフィポセチ(NTTドコモ)

山中亮平(神戸製鋼)

ジョン・スチュワート(―)

ウイング

アマナキ・ロトアヘア(リコー)

山田章仁(パナソニック)

フルバック

笹倉康誉(パナソニック)

山下一(豊田自動織機)

リアン・フィルヨーン(―)

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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