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長期化を前提に対策を!――日本看護協会会長が記者会見

江川紹子ジャーナリスト・神奈川大学特任教授
会見する福井トシ子・日本看護協会会長

 日本看護協会の福井トシ子会長が22日、日本記者クラブで講演。感染防護などについて国の迅速な対策を求めると共に、新型コロナウイルス対応の長期化が予測される中での提言を発表した。看護師に対する差別的な事案も起きる中、「『おつかれさま』の一言で私たちは報われる」と、国民の理解を呼びかけた。

相次ぐ院内感染に危機感

 このところ、院内感染の事例が増えていることに、同協会は危機感を高めている。報道などをもとにした同協会の集計では、20日までに19都道府県54施設で院内感染が起きている。

福井会長が記者会見で示した院内感染の状況
福井会長が記者会見で示した院内感染の状況

 院内感染を防ぐために不可欠の防護具が不足。クリアファイルでフェイスシールドを作ったり、ゴミ袋を防護服の代用にしている医療現場もある。

 また、患者に寄り添う看護が制限され、亡くなった患者に対するエンゼルケア(死後の処置)もできないなど、看護師はこれまで体験したことのない事態に直面し、ストレスフルな状態にある、という。

せめて防護具供給のプロセスを共有して欲しい

 同協会は、国などに対して様々な要望を重ねてきたが、優先度の高いものとして、福井会長は次の3点を上げた。

☆新型コロナウイルス患者に対応する看護職への危険手当の支払い

☆新型コロナウイルス患者を受け入れている医療機関で、不安を抱えながら勤務する医療従事者が希望した時には、公費でPCRを実施

☆感染防護の対策の早期実施

 とりわけ、感染防護については「いつになったら、何をどれだけ供給していただけるのか、その見通しすら全く分からない中で(現場は)やっている。(いつ供給の見込みかなど)そういうプロセスは、ぜひ共有させて欲しい」と強く訴えた。

「おつかれさま」の一言で報われる

 患者急増に伴い、看護師の増員も急がれる。同協会は、職場を離れている潜在看護師に対して、看護師の就職支援などを行うナースセンターを通じて復帰を呼びかた。20日現在で1287の求職申し込みがあり、110人がすでに就業している、という。

 ただ、子どもが保育園の登園自粛を求められたり、なじみの定食屋から来店を断られるなど、身の回りで差別を受ける事態も起きている。その一方、医療関係者に対する感謝を伝え、何かしたいと思っている国民も多い。私たちは、看護職の人たちに何ができるか?

 それを尋ねると福井会長は、こう答えた。

「特別なことではないんです。私たちは『おつかれさま』『ありがとう』の一言で報われた気持ちになり、モチベーションがすごく上がります。危険手当を求める私たちのツイートを、リツイートして応援して下さる方がたくさんいたのも励みになりました。そして、何より感染しないこと、それが一番の応援になります」

 また、新型コロナウイルスとの戦いが長期化することが予測される中、次のような協会としての提言を発表。

福井会長が会見で示した提言
福井会長が会見で示した提言

 「長期化を前提に、看護職が役割を果たせるように、さらには(コロナ以外の)一般の患者さんに影響を及ぼさないよう、在宅の患者さんにも目を向けていかなければならない」と述べた。

ジャーナリスト・神奈川大学特任教授

神奈川新聞記者を経てフリーランス。司法、政治、災害、教育、カルト、音楽など関心分野は様々です。2020年4月から神奈川大学国際日本学部の特任教授を務め、カルト問題やメディア論を教えています。

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