NY最低賃金 “さらに”アップし16ドルに(7年間で5ドルup)上昇は来年以降も続いていく
ニューヨーク州の最低賃金が1月1日に引き上げられた。
FOX Business: New York minimum wage increase goes into effect as 2024 begins
新たな最低賃金協定は、キャシー・ホークル州知事と議会との間で昨年4月に合意し、一部の雇用主そしてまだ十分な水準ではないと主張する一部の民主党員の反対を押し切って成立した。
これにより、最低賃金はニューヨーク市および近郊(ロングアイランド、ウエストチェスター)で、1時間15ドルから16ドル(約2270円)に引き上げられた。またニューヨーク州の残りの地域でも、14.20ドルから15ドルにアップした。
上昇はこれで一旦終わり、ではない。
最低賃金の引き上げは今後も続いていく。
具体的には、市内および近郊で17ドル(そのほかの地域は16ドル)に到達するまで、毎年50セントずつ段階的に引き上げられていく(つまり2026年に最低賃金は17ドルになる)。27年には北東部の地域指標の都市賃金労働者・事務労働者消費者物価指数(CPI-W)を基に、インフレ率に応じて引き上げられる予定。
職種毎に細かい例外はある。
例えばチップ制のある飲食店の従業員など。詳細
ウーバーやドアダッシュなどのデリバリードライバーも。このような職業の最低時給は昨年12月に17.96ドルになり、さらに25年4月に20ドルに引き上げられる。詳細
最低賃金に加えて、標準的な週の労働時間が40時間を超える(つまり残業が発生する)場合は、雇用主は通常の賃金の1.5倍の金額を支払う必要がある。また、出来高払いの場合は、最低賃金の水準以上の賃金を支払う必要があるなど、細かいルールが設定されている。
ここ数年のNY市の最低賃金の推移
7年で5ドル上昇
市内の11人以上の従業員がいる企業において、16年の最低賃金は11ドルだったので、実質7年間で5ドル引き上げられたことになる。
2016年末に11ドル
↓
17年末に13ドル
↓
18年末に15ドル
↓
24年に16ドル
↓
25年に16.5ドル
↓
26年に17ドル(現在の為替相場で2413円相当)
以上はあくまでも「最低賃金」の話である。ただし、筆者が飲食店のオーナーなどに話を聞くと、これらの最低賃金では良い人材が集まらないため、雇用主は最低賃金をはるかに上回る賃金を払うことで、人手不足を解消しているようだ。
経済政策研究所の発表を基にした報道によると、アメリカでこの新年に最低賃金が引き上げられたのはニューヨーク州を含む22州、そして38の市や郡だという。しかしアメリカではインフレが進み、これほど賃金が上げられてもインフレ高進に追い付いていない状況なのだ。
(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止