人類は太陽に到達!実写動画から判明した驚くべき新事実
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「史上初めて太陽に接触した探査機たちと新発見」というテーマで動画をお送りしていきます。
技術の進歩により、人類は探査機を太陽の間近まで送り、その過酷な環境下で直接探査ができるようになりました。
現在、ESAの「ソーラー・オービター」と、NASAの「パーカー・ソーラー・プローブ」の2つの探査機が、太陽に接近して探査を行っています。それらの探査機がもたらした、最新の太陽の発見を解説していきます。
●ソーラーオービターの成果
2020年2月10日には、欧州宇宙機関(ESA)により太陽観測衛星「ソーラー・オービター(以下オービター)」が打ち上げられ、現在も太陽を周回しています。
地球から観測できない太陽の極の部分には、太陽活動を解明する上で非常に重要な秘密があると考えられています。
オービターはそんな極を観測するため、軌道に角度をつけながら、徐々に太陽に接近していく計画となります。
そしてオービターが地球と太陽の距離の半分程度にあたる、太陽から約7700万km地点にて、太陽表面の詳細な撮影を行いました。
こちらが実際にその際に得られた画像となります。
この画像から、太陽表面における未知の活動の存在が明らかになりました!
なんと、地球の地上から観測できる太陽フレアの数百万~数十億分の1という小規模なフレアが、太陽表面の至る所で起きていたそうなんですね。
この新たに発見された小規模な太陽フレアは、「キャンプファイヤー」と呼ばれています。
他の太陽活動と比べると小規模とはいえ、左下に描かれている円が地球の大きさと等しいことを考えると、私たちにとってはその一つ一つが非常に大規模な活動と言えます。
現在のところ、キャンプファイヤーは地球から観測できる比較的大規模なフレアの小型バージョンに過ぎないのか、もしくはそもそもメカニズムが異なる異種の現象なのか、詳細なことはまだわかっていません。
そしてさらに、太陽表面が5500程度なのに対し、その外層のコロナの温度が100万もあるという、太陽最大の謎とされる「コロナ加熱問題」の原因としてこのキャンプファイヤーが寄与している可能性もあるそうです。
さらに2022年3月下旬、オービターは再び太陽に最接近しました。
この時オービターと太陽の距離は約4800万kmで、地球と太陽の平均距離の32%程度まで接近し、オービターの耐熱シールドは約500度にまで達していたそうです。
最接近時に新たに紫外線で撮影された、太陽の南極の動画がこちらです。
明るい部分には「閉じた磁力線」と呼ばれる磁気構造があり、その内側にある太陽を構成する高温の物質(プラズマ)が閉じ込められています。閉じ込められたプラズマは強力な紫外線を放出するため、このように明るく見えています。
反対に暗く見える部分は太陽の磁場が閉じておらず、プラズマが宇宙空間へと流出し、太陽風となります。
そしてこちらは同時期に紫外線で撮影された太陽の動画で、画面中央より下側に映っているのは「hedgehog(ハリネズミ)」という愛称で呼ばれている、オービターが太陽に非常に接近することで初めて明らかになった新構造です。
これまで発見されなかっただけあって太陽の中ではヘッジホッグは比較的小さな構造ではあるものの、ヘッジホッグの直径は約2.5万kmと、左上に表示されている地球サイズよりもずっと巨大な構造です。
このヘッジホッグについては現在の所その形成過程など、正確なことはまだわかっていません。
●太陽コロナに突入したパーカー
2018年8月12日、NASAは太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ(以下パーカー)」を打ち上げました。
パーカーの宇宙旅行は7年間の予定で、近日点において26回にわたり、太陽に接近する予定です。
2021年4月、パーカーは人類史上初めて太陽コロナに到達しました。
これは8回目の近日点到達時のことです。
このとき、太陽磁場の変動を観測したり粒子の採取をしたり、探査活動を行っています。
パーカーは合計26回にも及ぶ近日点通過の中で、金星のスイングバイを利用しながら、太陽との距離を縮めていき、太陽から、太陽半径約9個分(約600万km)という、オービター以上の超至近距離まで接近する予定です。
最接近時では、太陽に最も近い惑星、水星の軌道よりも遥かに内側を通ります。
この灼熱地獄に耐えられるよう、パーカーは約1400度に耐えられる耐熱シールドによって正面が保護されています。
また、太陽からの距離によって光の強さも大きく変動するため、太陽電池アレイの工夫も施されています。
太陽最接近時においては、地球周回時の約475倍強い太陽からのエネルギーに耐える必要があります。
太陽には、はっきりとした表面は存在しません。太陽は周囲を超高温の大気によって覆われており、強大な重力と磁場によって大気を太陽表面に引きつけています。
しかし、太陽からある程度離れた位置になると、太陽の重力や磁力の影響が弱まり、太陽大気が太陽風として宇宙空間へと飛び出すようになるのです。
太陽大気と太陽風の境目を、アルヴェン境界面と言います。
これまで、アルヴェン境界面の位置はコロナを観測した画像によって推測されていました。
その推測によれば、境界面は太陽表面から10~20太陽半径の位置にあるとされています。
しかし、正確な位置については分かっていませんでした。
そんな中、太陽探査機パーカーは2021年4月28日、8回目の近日点に到達した際に、太陽表面から18.8太陽半径の位置において、磁気と粒子が特定の条件を満たしている様子を検出しました。
これは、パーカーがアルヴェン境界面を通過したことを示していると言います。
このとき、人類は初めて太陽大気の内側に探査機を送り込むことに成功しました。
また、今回の近日点通過で、パーカーはアルヴェン境界面の外側と内側を何度も行き来していたことが確認されています。
単純な公転軌道を持つパーカーが何度もアルヴェン境界面の外部と内部を行き来していたということは、
アルヴェン境界面はしわくちゃで凹凸した形状をしていることを示しています。
これまで、アルヴェン境界面の位置は正確に観測されていませんでした。
今回の観測により、アルヴェン境界面の太陽からの距離と形状を知る手がかりを得たのは、大きな進歩だと言えるでしょう。
パーカーはコロナを通過する際、搭載されたカメラで宇宙空間を撮影することに成功しています。
上記のツイート内で添付しているのは、パーカーが撮影した実写画像を組み合わせて作成された、太陽コロナ内の実写動画です。
左から右に流れている線は、コロナ内に存在する「流線(ストリーマー)」と呼ばれる構造です。
正真正銘、人類が初めて太陽大気内から直接撮影した史上初の実写動画です。
今回紹介したオービターとパーカーは、今後さらに太陽に接近していき、新たな発見がもたらされることが期待されています。
私たちを生かしてくれている太陽が本当はどんな天体なのか、解明されるのが楽しみです!