自民党センセイ方の「言うだけならタダ」では学校は良くならない
言うだけならタダ、などと自民党のセンセイ方が考えていないことを祈りたい気持ちである。
学校教員の長時間労働是正を検討している自民党の議員連盟が、提言の中間とりまとめを馳浩文部科学大臣(文科相)に提出したそうだ。そこで、「教員の長時間労働に支えられている状況は既に限界」であり、抜本的な改革が必要と指摘している。
「そんなことは、いまごろ言ってもらわなくても、ずっと訴えてきていることじゃないか」といった声が、学校現場からは聞こえてきそうな指摘ではある。日本の教員の労働時間が長すぎることは、2013年に経済協力開発機構(OECD)が行った国際調査「国際教員指導環境調査」(TALIS)でも明らかにされている。その調査によれば日本の教員の労働時間は1週間に約54時間で、参加国平均の約38時間を大幅に上回っていた。だから自民党のセンセイ方の指摘は、「遅いよ!」なのだ。
それでも、その長すぎる労働時間を改善することによって、教育環境を改善する案が示されているのなら、「さすが、センセイ」といえる。しかし今回の提言の内容は、(1)教員全員の午後6時までの退校を目指し、勤務時間管理や健康管理などを促進する(2)部活動は大会などを除き、土曜、日曜を休養日とする(3)業務を明確化し、給食費の徴収業務などを極力行わせない、ということらしい。
要するに、強制的に労働時間を規制する、という内容でしかない。強制的に退校時間を決めてしまうが、その時間までに終わらなかった業務をどうするのか具体案はない。土、日の部活動を禁じることになるが、そんな簡単に子どもたちは納得しないだろう。余計な業務はやらせないというのは当然だが、「極力」というところが曲者で、「他に代行する者がいなければ、やってもらう」といったニュアンスが感じられる。
言うのは簡単だが、現状を考えれば、そうそう簡単にはできないことばかりだ。ちょっと考えただけでも、それを実行するためには問題が山積みといったところだ。具体論のない、言い放しに近い提言であり、教育現場を混乱させるだけのものにしかおもえない。
もっとも、今回は「中間とりまとめ」だというから、最終報告の段階では、教員の余計な負担を減らして子どもたちと向き合う時間を確保できるような、有効な策がもりこまれるのかもしれない。そうなることを、切実に祈りたい。