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92歳のプロモーター、ドン・キングの眼鏡に 適ったWBC-NABF ウエルター級王者

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
写真:Don King Productions提供

 1989年12月30日にペンシルバニア州フィラデルフィアで誕生したブレア・コブス(34)。目下、16勝(10KO)1敗1分けで、WBC-NABF ウエルター級タイトルを保持している。

 貧しい母子家庭で育ったコブスは、母親と共に街から街へと引っ越しを重ねた。11歳の時に母親が亡くなり、祖母を経由して、父親のユージン・コブスと暮らすこととなる。

 が、実の父親がFBIからマークされたため、アメリカを離れ、メキシコのグアダラハラに移住する。後の WBC-NABF ウエルター級がボクシングと出会ったのは、グアダラハラにおいてだった。

 コブスは2013年6月にプロデビューし、1ラウンドKO勝利を収めた。2019年3月、9勝(6KO)無敗1分で、空位だったWBC-NABFスーパーライト級タイトルマッチに出場して3-0の判定勝ち。およそ7カ月後に同ウエルター級王座も獲得した。

写真:ロイター/アフロ

 2022年8月6日以来、リングから遠ざかっているコブスは、復帰のチャンスを窺っていた。そして、3月13日に92歳のドン・キングと契約した。

 コブスは語った。

 「世界最大のボクシングプロモーターと契約した。リングに戻る準備はできている。俺のキャリアをさらに発展させるには、最高のプロモーターであるドン・キングと組むしかないよ」

 早速、エイドリアン・ブローナー戦が決まりそうだ。

ブローナー
ブローナー写真:ロイター/アフロ

 「ブローナーの話を聞くのは飽きた。ヤツの言葉は安っぽい。リング上よりもソーシャルメディアで戦う方が好きなようだ。戦わない理由はないし、誰が優秀であるかを見せてやる。

 俺は、もっと大きくてエキサイティングな試合を探している。ボクシングを再び素晴らしいものにしていく。本物のファイターと本物のボクシング。俺とブローナーは最高のエンターテイメントになるさ。真の戦いを見せるよ」

写真:ロイター/アフロ

キングは「ブレア、そして彼のマネージャーであるグレッグ・ハンリーと一緒に仕事ができることを楽しみにしている。ブレアはタイトルをさらに増やすことを求めており、私たちは本来の彼をリングに戻したい」とコメントした。

 悪徳プロモーターとして名を馳せ、何人もの優秀なファイターを食い物にしてきたキング。92歳にして、どのような力を発揮するのか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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