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非日常の温泉に浸る!「一生に一度は入浴したい関西の秘湯」5選

高橋一喜温泉ライター/編集者

「秘湯」という言葉から、旅情を誘う魅惑の響きを感じないだろうか?

秘湯とは本来「ひっそり人知れず、秘境の地に湧出する温泉」のことを指すが、現代の情報社会では、マニアしか訪ねないような野湯を除けば、だいたいの温泉は世に知られている。また、交通網の発達によって、アクセスが難しい秘湯も山奥や離島の温泉に限られるようになった。そういう意味では、秘湯はぐっと身近になり、誰でも楽しめるようになったともえいえる。

それを踏まえて、筆者は現代における秘湯を広くとらえ、「非日常感を満喫できる温泉」と再定義している。

今回は、一生に一度は入浴してみたい秘湯を関西エリアに絞って5カ所紹介したい。

湯の峰温泉(和歌山県)

開湯1800年、日本最古の湯としても知られる山あいの温泉地。熊野詣の拠点としての利用者も多く、世界遺産の中で唯一入浴できる温泉地でもある。気軽に入浴できる公衆浴場もあるが、ぜひ一度は入りたいのが足元湧出の「つぼ湯」(貸切制)。1人でいっぱいになる岩の湯壺の底から湯が湧き出し、透明から白や灰色など7色に変化するという。世界遺産の湯壺につかりながら、歴史に思いを馳せたい。

川湯温泉(和歌山県)

温泉街の目の前を流れる大塔川から湯が湧き出している。川岸を掘れば温泉が湧き出すので、スコップで自分好みの露天風呂をつくる。源泉はかなり熱いので川の水とうまくブレンドさせるのがコツ。川と一体化したかのような「マイ湯船」からの風景は、唯一無二である。夏場は川遊びやキャンプに興じる観光客も多い。

十津川温泉郷(奈良県)

奈良の深い山の中にあり、どこからアクセスしても到着まで時間のかかる温泉地。その意味では関西エリアに残された貴重な「秘湯」といえる。自然豊かな環境で、温泉施設はすべて源泉かけ流しの湯船をもつ。共同浴場も充実しており、滝を見ながら入浴できる「滝の湯」をはじめ、ダム湖を望む「庵の湯」、川を見下ろす「泉湯」など、景色が美しい温泉がめじろ押しだ。

花山温泉(和歌山県)

和歌山市の市街地にある一軒宿「花山温泉 薬師の湯」。成分の濃い炭酸泉が有名で、赤茶色の濁り湯とそれがつくりだす析出物のインパクトがすごい。温泉好き憧れの名湯で、その特徴的な源泉は山奥の秘湯に湧いていそうな泉質だ。最大の魅力は、26度の源泉がそのままかけ流されていること。夏場は温冷交互浴が最高に気持ちいい。

入之波温泉(奈良県)

奈良県奥吉野、吉野川の源流近くの湖畔に湧く秘湯。旅館の「山鳩湯」では、炭酸ガスを含んだ褐色の湯がかけ流しにされ、オレンジ色の析出物が湯船や床を覆う様は、まるで温泉がつくりだした芸術である。ロケーションの面でも、泉質の面でも「秘湯」の名にふさわしい。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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