【DMJ】“ジャズ作曲家”への注目度を高める受賞記念コンサート(挾間美帆@Hakuju Hall)
“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画が“出掛ける前からジャズ気分”、略してDMJ。今回は、ジャズ作曲家の挾間美帆の出光音楽賞受賞記念コンサート。
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今年3月、第24回出光音楽賞の受賞者が発表された。
出光音楽賞とは、「出光興産株式会社主催の音楽賞で、主にクラシックの音楽活動を対象に、育成という観点から意欲、素質、将来性などに重きを置き、原則として30歳以下の新進の音楽家を顕彰」(引用:出光興産株式会社ホームページ)するというもの。
その3名の受賞者のなかに挾間美帆という名前があったことで、ジャズ・シーンはにわかに色めきだった。過去にこの賞を受賞したジャズ・ミュージシャンは、第5回の大西順子、第14回の松永貴志の2人のみだ。
挾間美帆は1986年生まれ。国立音楽大学作曲科在学中の2008年に、東京オペラシティ・コンサートホールで初演された山下洋輔作曲「ピアノ・コンチェルト第3番<エクスプローラー>」のオーケストレーションを担当したことで脚光を浴びた。ボクもこのステージに立ち会っていたが、山下洋輔の口から“挟間美帆”の名前が出たときに「誰それ?」と思った記憶がある。山下洋輔は国立音楽大学作曲科のOBで2004年から客員教授に就任しているので、才気あふれた彼女にいち早く注目し、その実力を試す場を与えたということだったのだろう。
ジャズでは“シットイン”という習慣が残っている。楽屋を訪れた出演予定のない若手ミュージシャンをライヴ中に呼び込んで、ベテランがセッションの機会を与えるというものだ。若手は与えられた1曲ほどのチャンスのなかで、“現場”の雰囲気などをつかんでいく。山下洋輔がまだ学生だった挟間美帆に与えた課題は、まさに“ジャズ作曲家としてのシットイン”ではなかったのだろうか。
注目を浴びた挟間美帆は、作・編曲家としてクラシック方面からも声がかかるようになっていったが、卒業後にニューヨーク留学を決意。
2012年にマンハッタン音楽院大学院を優等で卒業すると、11月には満を持してデビュー・アルバムとなる『ジャーニー・トゥ・ジャーニー』をリリースして、“ジャズ作曲家宣言”をしたのだ。
2013年には山下洋輔プロデュースによる東京オペラシティのニューイヤー・コンサート「挾間美帆のジャズ作曲家宣言!」にフィーチャーされるなど、本格的な活動をスタートさせた矢先に出光音楽賞という“龍門を登った”彼女のライヴは、シーンを刺激する予感に満ちているに違いない。
本公演ではまず、アルゼンチン出身でニューヨーク在住のコンテンポラリー・タンゴのニュー・スター、バンドネオン奏者のJP ジョフレをゲストに迎えて、最先端のコンテンポラリー・ポップ・ミュージックにも挑戦するとのこと。
さらに後半では、先述のニューイヤー・コンサート「挾間美帆のジャズ作曲家宣言!」で初演した「Space in Senses」を再演。弦楽五重奏団にピアノの挟間美帆が入った初演とは異なる新たな編成で、“ジャズ作曲家”である自身の音楽観を表現しようという趣向だ。
では、行ってきます!
●公演概要
挾間美帆 出光音楽賞受賞記念コンサート
10月8日(水) 開場 18:30/開演 19:00
会場:HAKUJU HALL
出演:挾間美帆(ピアノ)、会田桃子(ヴァイオリン)、沖増菜摘(ヴァイオリン)、吉田篤貴(ヴィオラ)、島津由美(チェロ)、木村将之(コントラバス)、ゲスト:JP ジョフレ(バンドネオン)