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3月からIRいしかわ鉄道とハピラインふくいの境界駅に! 北陸本線 大聖寺駅(石川県加賀市)

清水要鉄道・旅行ライター
大聖寺駅

来たる3月16日の北陸新幹線金沢~敦賀間開業に合わせ、並行在来線となる北陸本線金沢~敦賀間はJR西日本から分離され、第三セクターのIRいしかわ鉄道とハピラインふくいに移管される。その二つの会社の境界駅となるのが、石川・福井の県境近くに位置する石川県最西端かつ最南端の駅・大聖寺(だいしょうじ)駅だ。

明治30(1897)年9月20日の福井~小松間開業に合わせて開設されて以来、127年の歴史を有する。

駅舎内 左奥がコワーキングスペース
駅舎内 左奥がコワーキングスペース

大聖寺駅は加賀温泉郷などのある加賀市の代表駅で、特急もごく一部が停車するが、令和3(2021)年11月1日より無人駅となっている。かつては山中温泉とを結ぶ北陸鉄道山中線が分岐していたが、昭和46(1971)年7月11日に廃止された。昭和45(1970)年10月1日に隣の作見駅が改称されて加賀温泉駅となるまでは、動橋(いぶりはし)駅と共に特急の多くが停車していたが、特急のスピードアップを図るべく加賀温泉駅への停車駅集約が図られたことによって、急行以下しか停車しなくなった時代もあった。後に急行が特急に統合されたことによって特急の停車が復活したが、停車本数は全盛期に及ぶべくもない。

改札口
改札口

特急停車駅としてみどりの窓口も設置されていたが、こちらも無人化一か月前の令和3(2021)年9月30日で営業を終了している。JR西日本は近年、北陸地方で駅の無人化を進めており、今回移管される区間には有人駅が金沢、松任、小松、加賀温泉、福井、鯖江、武生、敦賀の8駅しかない。

旧待合室にはベーカリー&カフェショップ「デ トゥット パンデュース」が入居
旧待合室にはベーカリー&カフェショップ「デ トゥット パンデュース」が入居

昭和28(1953)年5月に建てられた古いコンクリート造平屋建て駅舎は、無人化後にJRから加賀市に譲渡の上で改装された。令和4(2022)年6月13日には複合施設「大聖寺ゲートウェイ」がオープンし、ベーカリー&カフェショップやコワーキングスペースが入居している。石川県の馳浩知事は「無人駅が無人駅のままであってはいけない」としてIRいしかわ鉄道の無人駅の地域拠点としての活用を県としてフォローしていく方針を示しており、大聖寺駅はそのモデルケースとなりそうだ。

ホーム
ホーム

ホームは単式ホームと島式ホームからなる2面3線。駅舎側の1番線を金沢方面、島式外側の3番線を福井方面の列車が使用し、内側の2番線は特急列車の退避や折り返し列車によって使用される。

山中線ホーム跡
山中線ホーム跡

駅裏にはオートバイや自動車の部品を製造する大同工業の本社工場があり、駅前にも関連施設が多数所在している。3番ホームと工場の間には側線が敷かれているが、かつてはここに北陸鉄道山中線のホームがあった。

大聖寺の街並み
大聖寺の街並み

最後に駅がある大聖寺についても少し触れておこう。大聖寺は加賀市役所の所在する加賀市の中心市街地で、江戸時代には加賀藩の支藩・大聖寺藩の城下町であった。地名は白山五院の一つ・大聖寺に由来する。大聖寺は白山信仰の重要な拠点たる寺院だったが、一向宗徒と越前朝倉氏の戦乱によって焼失し、その名前だけが残っている。明治の町村制では江沼郡大聖寺町となったが、駅が設けられたのは隣接する江沼郡三木村熊坂だった。昭和33(1958)年1月1日、大聖寺町は三木村など8町村と合併して加賀市の一部となっている。

城下町や温泉地への玄関口として開業しながら、後発の加賀温泉駅に特急停車駅の座を奪われ、ついには無人化されてしまった大聖寺駅。三セクへの転換後は二つの会社の境界駅となるが、IRいしかわ鉄道、ハピラインふくいの両社とも列車の増便を計画しているため、利便性は大きく向上しそうだ。

鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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