松尾大社のヤマブキと新緑の嵐山法輪寺へ
まずは阪急電車の松尾大社駅からスタート。駅を出るとすぐに松尾大社の大きな鳥居が見えてくる。大宝元(701)年701年に秦忌寸都理が背後の磐座に鎮座された大山咋神を勧請し、現在の場所に社殿を造った。
平安京造営の際には王城鎮護の神として指定され、「賀茂の厳神、松尾の猛霊」と称されてきた。秦氏は醸造を得意とし、境内から酒造りに良いとされる名水「亀の井」が湧いたことから、松尾大社は全国の酒造家から信仰を集めている。
重要文化財の本殿は応永4(1397)年の建築で、天文11(1542)年に大修理が行われており、両流造(りょうながれづくり)と称される珍しい形式。庭園は、重森三玲の最後の作となった昭和の庭園で「松風苑」と呼ばれ、上古の庭、曲水の庭、蓬莱の庭という三つ庭からなる。庭園内には徳島県吉野川産の青石が200余個も用いられており、重森三玲が丸一年の歳月をかけて作庭し、昭和50年に完成した。
この時期の松尾大社は、なんといっても3000株の山吹が境内を彩り、最も華やかな季節を迎えている。今年は開花が早く、ピークは過ぎたが、GW中はまだ可憐な姿を見せてくれそうだ。
松尾大社を出て嵐山方面へ。境内を流れていた一ノ井川に沿って山際を歩いて行こう。この時期は、所々にヤマフジが咲いている。阪急電車の嵐山駅の手前に風情のある茅葺の山門が見えてくると、そこか西光院という浄土宗西山禅林寺派の寺院だ。
門前の石碑が示すように、かつて西行法師が住んだ場所であり、西光寺と西行庵が明治時代に合併して現在の形となった。本尊阿弥陀如来立像が二体あることから「二尊山」の山号を持つ。境内からは、西行が植えた桜の子孫が古木となって道にせり出していた。
阪急電車の嵐山駅を過ぎると、左手に通称「嵯峨の虚空蔵さん」で親しまれている法輪寺の入り口が見えてくる。数え年で13歳になる子供が知恵を授かりに参拝する「十三まいり」(3/13~5/13)の行事でも知られている。
和銅6(713)年に行基が開創したことに由来し、天長6(829)年に道昌(どうしょう)が、求聞持法を修めて虚空蔵菩薩を感得、安置して現在に至っており、境内には電気や電波の安全を祈願する電電宮もある。
本堂前には虚空蔵菩薩の使いである「未(ひつじ)」が祀られているほか、虚空蔵菩薩が守り本尊である丑年と寅年にちなんで、牛と虎が本堂前に狛犬的存在となって置かれている。
また境内に設置された舞台からは、渡月橋を含む嵯峨野の景色はもちろん、京都市内も一望できる。
法輪寺の舞台下を通る抜け道の新緑も美しく、一気に渡月橋へ出られる近道なのでおすすめしたい。渡月橋を渡る手前左側には岩田山モンキーパークの入り口があり、その横には大堰川の水運を守ってきた櫟谷宗像神社があるので、散策の締めくくりにお参りして行こう。