冬支度のシーズン 猫の快適な部屋は隠れるところがたくさんある 『ウォーリーを探せ!』が手本
朝晩、ずいぶん肌寒くなりました。
留守番をさせている猫のために、冬仕様に模様替えをしたいという相談を受けました。いまや都会の猫は、外に一歩も出ることがなく、完全室内飼いの子が増えています。家の中がその子の生活の全てなのです。そんな環境にいる猫のために、快適な空間というものがあります。
今回は、動物行動学から見た猫の快適な空間を考えてみます。
簡単に説明すれば猫にとって『ウォーリーを探せ!』の状態にすればいいのです。
『ウォーリーを探せ!』はイギリス人イラストレーター、マーティン・ハンドフォードによって出版された絵本。ページ一いっぱいに、人混みが書かれていて、その中で赤と白の縞のシャツを着たウォーリーを探すというものです。ごちゃごちゃしていて、よく見ないとウォーリーが見つからないのです。つまり猫がウォーリーで、外から家に帰ってきたとき飼い主が、すぐに猫の姿が「どこにいるか」わからない部屋がいいです。隠れるところが、たくさんあると猫がリラックスできます。モデルルームのような部屋ではなく、見通しの悪い部屋の方が、猫にとっては快適なのです。
なぜ、見通しの悪い部屋がいいのか。
猫は、元来、単独生活の動物です。イギリスの動物学者のデズモンド・モリスは『キャット・ウォッチング』(平凡社)で以下のように書いています。11ページから
とあります。
つまり猫は犬のように群れで狩りをして、獲物を取ることはなく、ひとりで茂みに隠れて射止めるという習性があります。猫と犬は、同じペットですが、動物行動学には、違うのです。家と外を生活の場所にしていた時代の猫なら、部屋が嫌なら、外に出て行けば、よかったですが、完全室内飼いの場合は、飼い主の室内のコーディネートで、猫の居心地がのよさが変わるのです。何も隠れるところでない部屋でいると、やはりストレスが溜まったりしますね。
理想の猫の世界
・猫が、飼い主のところに行きたいときは、自分から行けて、そうでもないときは、ひとりで隠れていることが出来る部屋
・猫は、部屋の中で、暖かいところと涼しいところがある方がいいようです。以前、20 年以上の長寿の猫に、どのような工夫をしているかのアンケートを取りました。ある漫画家さんの猫は、血がつながっていない子でも、20年以上生きる子が多く、その秘訣のひとつは、1年中、掘りこたつを出しておくことだそうです。もちろん、暑い時期は、こたつの電気はつけていませんが、エアコンなどで、部屋が冷えすぎたときには、そこで冷えた体を温めていたそうです。温度的にもいいし、動物行動的にもこたつの中で隠れていれるということです。猫にすれば、1日中、飼い主に見られているストレスがないですね。
・高低差があるところを好みます。俯瞰して部屋の中を見たいという要求もあります。
飼い主のできること
・猫が隠れる場所を作ってあげる。室内にペット用のテントを買って、置くのもいい。
・猫が入れるようなダンボール箱を片付けないで、積んでおく。
・猫が高いところでも歩けるように、キャットタワーなど購入。
・日曜日大工で、キャットウォークを作ってみる。
注意点
スコティッシュフォールドという種類の猫は、突然変異で偶然できた折れ耳を持つものです。それらを交配させたので、関節の病気を持っている子も多いです。その場合はキャットタワーなどの高いところに登らないのは、関節痛から来る子もいます。おとなしいわけではなく、痛みがあるのです。スコティッシュフォールドを飼っている人は、その辺りのことも覚えておいてくださいね。思いあたる点のある飼い主は、一度、かかりつけ医に診察してもらいましょう。
まとめ
猫と一緒に住んでいる人は、インスタ映えするといって、ものがあまりない部屋で暮らすより、猫にとっては『ウォーリーを探せ!』のように隠れるところが多い方が快適なのです。彼らの視点も入れて部屋づくりをすることが大切です。ストレスの少ない部屋の方が病気などになりにくいのですからね。