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喫煙ボックスを作るなら、「家族ボックス」「陰口ボックス」「悪臭ボックス」も必要だ

大宮冬洋フリーライター

●今朝の100円ニュース:ロイヤルホスト完全禁煙 大手ファミレスで初(日本経済新聞)

昨日に引き続き、たばこの話。日経新聞によれば、ロイヤルホストが全面禁煙になるらしい。たばこを吸いたい人は、店の一角にある喫煙ボックスを使用できる。

飲食店で自分が不快なことをする客を隔離してほしい、という気持ちはわかる。僕は喫煙者を特に不快には感じないけれど、騒ぐ子どもを連れた家族客が近くに座ると胸がドキドキするからだ。

唐突に金切り声をあげる子ども、知らんぷりの両親、なぜか喜んでいる祖父母。僕には理解できない。食事の味もわからなくなり、全身に嫌な汗をかき、ストレスでガンになりそうだ。受動喫煙よりはるかに危険度が高いと感じる。喫煙ボックスではなく「うるさい家族ボックス」を作ってほしい。

仲間の陰口ばかりで盛り上がるおばさんたちも苦手だ。他に話題はないのだろうかと不思議になるぐらい、悪意のある噂話を満面の笑みを浮かべながら夢中で言い続けている。聞きたくもないけれど、声が高いので耳に入ってきてしまう。僕はカフェやファミレスで居眠りをすることがある。寝ているうちに隣で悪口を長々と聞かされていたら、頭がおかしくなってしまうかもしれない。危険だ。「陰口おばさんボックス」の設置を要求したい。

たばこの臭いよりも加齢臭や口臭が苦手だという人もいるだろう。確かに、その手の臭いを不用意に吸ってしまうと吐き気を催すぐらいのショックを受ける。レストランでは体臭ごとに「分臭」すべきではないだろうか。と息巻いていたら、妻から「あなたもときどき臭うよ」と指摘された。疲れていたり酒を飲んだ翌日だったりするとかなり臭いらしい。僕が「悪臭おじさんボックス」に収容される日も近い。

このような隔離ニーズに対して丁寧に応えていくと、幅広い層を狙った中価格帯のレストランは「ボックス」だらけになるだろう。カフェやファミレスという業種全体を店と見るならば、全面禁煙を打ち出しているスターバックスやロイヤルホストは「禁煙ボックス」なのかもしれない。ならば、家族連れ禁止の「子なしボックス」ファミレスも作ってほしい。もはやファミリーレストランとは言えないけれど……。

でも、本当に行きたいのは禁止事項がないレストランだ。子どもが騒いだら親がきちんと叱り、悪口や下ネタを言いたいときは声のボリュームを落とす。テーブルでの携帯電話の使用は控えめにして、入浴と歯磨きで悪臭を防ぎ、たばこを吸うときは隣の人に煙が直撃しないように配慮する。それぞれが好きなことをしているのだけれど、店という場を共有していることを忘れない。

自然な気配りができる常連客が多い店は、目に見えない「いい雰囲気」を醸し出している。店の雰囲気は、料理の味や値段と同じぐらい大事だと思う。家庭とは違う緊張感と安心感の中で、おいしい食事を楽しむのだ。このような気配りと雰囲気は、隔離ボックスからは決して生まれない。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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