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サンウルブズ→パナソニックのサム・ワイクス、感じた王者の凄味とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ロビー・ディーンズ監督曰く「ラインアウトではリーダーシップを取っている」。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 人呼んで「ワイクシー」。カールのかかったヘアを後方へ編み上げるオーストラリア人戦士が、2季ぶりの国内トップリーグ制覇に燃えるパナソニックで早速、中軸候補に名乗りを上げる。

 サム・ワイクス。身長197センチ、体重109キロの29歳で、昨季までは2シーズン、トップリーグのコカ・コーラに在籍していた。

 国際リーグのスーパーラグビーでは2008年からウェスタン・フォースでプレーし、コカ・コーラとの契約が満了した今季は日本のサンウルブズへ参画。サンウルブズでは、空中戦のラインアウトでのリーダーシップを取った。7月にはスーパーラグビー通算100キャップを獲得し、慎み深い態度で日本のファンの心を掴んできた。

 8月11日。埼玉・熊谷陸上競技場で、スーパーラグビーのハイランダーズと親善試合をおこなう。若手中心の相手を22-7で破ったこの日、背番号「4」をつけたワイクスは防御網の引き締めと空中戦でのリード、さらには前半27分の勝ち越し点の援護で魅す。大会選定のマン・オブ・ザ・マッチに輝いた。

 特にスコアをアシストした場面では、密集脇をえぐった仲間からパスを受け取り目の前のスペースを突っ切る。グラウンド中盤から敵陣の深い位置へ進むと、フィニッシャーの山田章仁にロングパスを送った。

 試合を終えると、チーム関係者に連れられ取材エリアに顔を出す。試合の感想やハイライトシーンの回想を求められ、笑みを交えて語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

―― このチームで初の実戦。開幕前最後の試合でもありましたが、いかがでしたか。

「やるべきこと以上のことをやったいいゲームでした。意思統一してプレーできた」

――山田選手のトライをアシストした走りについて。

「ただ、前に誰にもいなかったので、走ってみたらうまくいった。最後はアキが決めてくれて、よかった」

――コカ・コーラの契約が昨季で切れ、パナソニックへ入団。

「今季、サンウルブズにいる間にパナソニックからアプローチがありました。嬉しかった。いい機会だと思いました。契約がうまくつながって、喜んでここへ来ました。とてもいいクラブです」

――パナソニックの良さは。

「同じことをするだけでなく、常により強く、より強くなろうとしています。簡単なパスとキャッチの練習といった小さなことも、ゲームプランを意識してやっています。ラインアウトも、アキやケンキ(福岡堅樹)のようないいフィニッシャーがトライできるようにしっかりさせよう、と」

――求められる役割は。

「チームのシステムをしっかりとカバーして欲しいと言われました。自分の与えられたポジションのことを理解しようとしている状態です」

――合流して約2週間。システムの習得への難しいのでは。

「(日本語で)サンウルブズニ、ニテル! (以後、英語で)だから、そんなに難しいと感じることはないです」

――今季、成し遂げたいことは。

「優勝すること。僕は、まだ勝ち得たことがないので。毎週、毎週、しっかりと準備をすることがそこに繋がると思います。チームファーストで戦います」

 その延長線上で「国内居住3年以上」という代表資格取得をクリアしそうだ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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