今年世界最強サイクロン「ヤサ」カテゴリー5でフィジー直撃
歳も暮れ、あと2週間で大晦日を迎える今、日本では記録的な大雪に見舞われています。一方で夏が始まったばかりの南半球では、今年世界最強のサイクロン「ヤサ」が発生し、フィジーに上陸しました。
現地時間17日(木)サイクロン『ヤサ(Yasa)』がフィジーのバヌアレブ島を直撃しました。
上陸直前のヤサの中心気圧は907hPa、最大風速(10分平均)は62m/sで、勢力は5段階のスケールで最も強い「カテゴリー5」に相当します。
カテゴリー5のサイクロンとは「最大風速56m/s以上、最大瞬間風速78m/s以上。非常に危険で、広範にわたって壊滅的な被害をもたらす」と定義されています。
2016年以来最強
実際これほどの規模のサイクロンがフィジーに上陸したのは、これまでにたった一度しかありませんでした。
2016年2月に発生した「ウィンストン(Winston)」です。ウィンストンは南半球における観測史上最強のサイクロンとしても記録されています。
直撃を受けたフィジーでは壊滅的な被害が出て、44人が死亡、同国の観測史上もっとも多くの死者を出すサイクロンとなりました。さらにフィジーのGDPの3分の1に当たる14億ドルもの損失が出て、史上もっとも大きな経済損失をもたらしたサイクロンとしても記録されています。
ヤサの記録
今回上陸したヤサはウィンストンよりはやや弱かったと推測されるものの、下記のような記録的なサイクロンとなっています。
1. 今年世界最強のサイクロン。台風19号の中心気圧905hPaを下回り、一時899hPaを記録。(一般に気圧が低いほうが、風が強くなる。)
2. 南太平洋の観測史上4番目に中心気圧が低いサイクロン。
3. 南太平洋の観測史上もっとも早期に発生した「カテゴリー5」のサイクロン。(同海域でサイクロンシーズンが始まるのは11月。
強大化する南太平洋のサイクロン
近年、南太平洋ではサイクロンが強大化しています。
1980年代の観測開始以降に発生したカテゴリー5のサイクロンは15例ですが、そのうち11個は2000年以降に発生したものです。
今年4月には「ハロルド(Harold)」も同勢力にまで発達しました。1年で2つの「カテゴリー5」が発生するのは15年ぶりのことです。