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大盛況で幕を閉じた17年ぶりの「大相撲ファン感謝祭」 コロナ禍で嚙み締める、戻った「日常」の尊さ

飯塚さきスポーツライター
オープニングセレモニーでの鏡開きの様子(写真はすべて筆者撮影)

10月6・7日の2日間にわたり、17年ぶりとなる「大相撲ファン感謝祭」が両国国技館で開催された。中心になって運営に奔走した岩友親方(元幕内・木村山)は、平日の開催に対して不安を吐露していたが、まったくの杞憂に終わったと言っていい。両日雨の悪天候のなか、国技館は日中から大勢のお客さんで大賑わい。どこに行っても、力士や親方、関係者はてんてこ舞いだ。訪れたファンは、そんな力士とのふれあいや各イベント、大相撲ならではのグルメを大いに楽しんでいた。

ファン感謝祭写真ギャラリー

おそらく言葉はいらないだろう。初日の様子を写真と共に振り返る。

先日断髪式を終えたばかりの荒汐親方(左)と、ポーズを決める押尾川親方
先日断髪式を終えたばかりの荒汐親方(左)と、ポーズを決める押尾川親方

実家が寿司屋を営む、元勢の春日山親方。ステージでは相撲甚句で美声を披露も
実家が寿司屋を営む、元勢の春日山親方。ステージでは相撲甚句で美声を披露も

貴重な塩まき体験も。呼出しの照矢さん(左から2番目)は「100人単位でお客さんが来てくれました。お子さんを中心に、みんな楽しそうでよかったです」とホッとした表情を見せた
貴重な塩まき体験も。呼出しの照矢さん(左から2番目)は「100人単位でお客さんが来てくれました。お子さんを中心に、みんな楽しそうでよかったです」とホッとした表情を見せた

ファンと手押し相撲をする、先場所優勝した玉鷲
ファンと手押し相撲をする、先場所優勝した玉鷲

宮城野親方(元横綱白鵬)とチェスができるコーナー。親方はコロナ禍でチェスを再開。モンゴルの大統領にチェス盤をもらったと言い「モンゴルのビショップはフタコブラクダなんです」と説明
宮城野親方(元横綱白鵬)とチェスができるコーナー。親方はコロナ禍でチェスを再開。モンゴルの大統領にチェス盤をもらったと言い「モンゴルのビショップはフタコブラクダなんです」と説明

オープニングセレモニーで力士を代表してあいさつする横綱・照ノ富士
オープニングセレモニーで力士を代表してあいさつする横綱・照ノ富士

関取衆も終始笑顔
関取衆も終始笑顔

関取衆と卓球ができるコーナー
関取衆と卓球ができるコーナー

空いた時間には一山本(左)と、中学時代卓球部だったという錦木が卓球に興じる場面も
空いた時間には一山本(左)と、中学時代卓球部だったという錦木が卓球に興じる場面も

ファンとトランプに興じる宇良(右手前)と隆の勝
ファンとトランプに興じる宇良(右手前)と隆の勝

心的充足感に満ちた感謝祭

久々の人混みに揉まれ、帰宅後ドッと疲れたことは言うまでもない。しかし、3年近くに及ぶコロナ禍で、「自粛」からしばし解放されたような空間は、懐かしくどこかホッとするもので、心的には非常に充実していた。感謝祭の感染症対策はもちろん万全で、安心して楽しめたが、何より「人混みが怖い」という感覚はまったくなかったのだ。そんなことよりも、360度どこを見回してもあふれる笑顔、館内の活気、迎え入れる力士・親方衆ら関係者がファンに見せる優しさ。たくさんの温かいものに触れて、思わずふと涙していたかもしれないとまで考える。

また、関取衆ら関係者に感想コメントを求めようと当初は考えていたが、久しぶりに会う面々が多く「元気だった?」「最近何してた?」と再会を喜ぶ場面ばかりになってしまい、そんなに久しぶりではない豊昇龍の「まだこれから出番あるんですよ。楽しいというか、頑張ります!」という慌ただしいコメントのみになってしまったことを、ここに正直にお詫びしたい。

ようやく戻ってきた「大相撲の日常」。皮肉にもコロナが教えてくれた日常のありがたみを噛み締める感謝祭であったと共に、開催に尽力したすべての人に敬意を表したい。今日から始まる秋巡業では、感謝祭に来られなかった人にも、この喜びを味わっていただけますように。

スポーツライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライターとして『相撲』(同社)、『大相撲ジャーナル』(アプリスタイル)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』が発売中。

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