昨シーズンの「最も平均的な打者」は、平凡とは程遠い選手だった
昨シーズン、メジャーリーグの平均打率は.248、出塁率は.318、長打率は.409だった。この平均との差が、3部門のいずれも7ポイント以内の打者は3人いた。フィリップ・アービン、ブラッド・ミラー、マーウィン・ゴンザレスだ。
アービンとミラーが250打席前後であるのに対し、マーウィンは規定打席をクリアした。スラッシュライン(打率/出塁率/長打率)からすると、昨シーズンの最も平均的な打者は、マーウィンと言っていいだろう。
もっとも、マーウィンの場合、打者としてのスタッツは平均でも、選手としては、平凡とは程遠い。さまざまなポジションを守りながら、他のレギュラーと同じようにほぼ毎試合に出場する、スーパー・ユーティリティだ。昨シーズン、マーウィンはバッテリー以外の7ポジションについた。そのうち、レフト、遊撃、二塁、一塁の出場は、それぞれ20試合を上回った(途中から守った試合を含む)。メジャーリーグの歴史において、同じことをした選手は他にいないが、マーウィンはこれを2年続けて記録している。さらに、打席は左右のどちらにも立つ。
このオフ、マーウィンはヒューストン・アストロズからFAになった。アストロズは11月にトロント・ブルージェイズからアレドミーズ・ディアスを獲得していて、マーウィンと再契約する可能性は低い。ディアスは内野のユーティリティで、外野は2017年にレフトが3試合のみだが、遊撃を守ることができる。
マーウィンの打撃は、過去2シーズンのスラッシュライン、2017年の.303/.377/.530と2018年の.247/.324/.409を比べると、2018年の方がキャリア平均の.264/.318/.419に近く、2017年は出来過ぎだった感もある。とはいえ、その汎用性は、どの球団にとっても魅力だ。年齢は3月で30歳。シーズン15本前後のホームランも打てる。少なくとも、3~4球団が興味を示しているらしい。
なお、平均的なスラッシュラインを記録した他2人のうち、アービンは現在もシンシナティ・レッズに在籍しているが、ミラーは7月末にミルウォーキー・ブルワーズから解雇された。ミラーはわずかながらマーウィンより若く、2015年は一塁以外の内野3ポジションと外野3ポジションを守り、2016年はホームランを30本打った。けれども、今のところ、契約の動きはないようだ。理由としては、打率と出塁率がどのシーズンも昨シーズンとそう変わりなく、左打者で左投手に弱いことが考えられる。