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冨安健洋が11人いたらボローニャの勝率アップ? 伊記者が絶賛「近年最高の補強」

中村大晃カルチョ・ライター
1月16日、セリエAヴェローナ戦での冨安健洋(写真:Maurizio Borsari/アフロ)

2019年夏にボローニャ入りしてから、冨安健洋に対する賛辞は後を絶つことがない。1年目の昨季は、右サイドバックとして確かな評価を手にし、名門ミランの標的となるまでに成長した。

ただ、2年目の今季は、本職のセンターバックにコンバートされ、何度か批判を浴びてきた。適正位置は右サイドバックとの指摘は少なくない。実際、昨年末から右サイドでプレーした3試合で計2得点を挙げており、“復帰”を求める声もある。

◆センターバックとして絶賛

だが、1月16日のセリエA第18節エラス・ヴェローナ戦では、センターバックとして称賛された。

テレビ系メディアの『スカイ・スポーツ』と『スポーツ・メディアセット』、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙や『コッリエレ・デッロ・スポルト』紙、ウェブサイト『TUTTOmercatoWEB』やボローニャ専門サイト『bologna SPORT NEWS』と、多くのメディアが採点で冨安に7点という高い点数をつけている。

中には「守備陣の真の巨人、リーダー、支柱」(『メディアセット』)、「(センターバックでの)ベストパフォーマンス」(『bologna SPORT NEWS』)、「脱帽」(『コッリエレ・デッロ・スポルト』)など、イタリアメディアらしい賛辞も寄せられた。

◆抜群の「安定と安心」

特に、『bologna SPORT NEWS』では、試合翌日にフリオ・ザーラ記者が「過去2年で最高の補強」と絶賛している。ザーラ記者は以前、『Calciomercato.com』で、サンプドリアに所属する吉田麻也のことも高く評価した人物だ。

ザーラ記者は「ほぼ常に90分の間で支配者」「間違った試合をすることがまれ」と、冨安の安定感がチームに大きく貢献していると指摘。「冨安が11人だったら、ボローニャはあと6~8ポイントを手にしている」とまで記した。

さらに、同記者は「仕事から帰宅した時に冷蔵庫にある何か」「給油所が見えない時にタンクにまだ残るガソリン」と、独特の表現を用い、冨安がボローニャに安心を保証すると称賛している。

◆チーム2位の市場価値

では、冨安は本当にこの2シーズンでボローニャ最高の補強と言えるのだろうか。

チームにおける存在価値は、『Transfermarkt』による市場価値の設定金額でも裏付けられている。2200万ユーロ(約27億6000万円)でトップのリッカルド・オルソリーニに続き、冨安はムサ・バロウと並ぶ1800万ユーロ(約22億6000万円)でチーム2位タイだ。

コロナ禍で一時1500万ユーロ(約18億8000万円)から1350万ユーロ(約16億9000万円)に下がったが、8月に1800万ユーロに上昇。その後12月も維持している。ロックダウン後のパフォーマンスが評価され、今季も価値が落ちていないということだ。

当然、過去2シーズンの新戦力の中でも、バロウと並んで最高額となる。そしてバロウが今季リーグ3得点と期待を下回り、たびたび指揮官やメディアから批判されていることを考えれば、ザーラ記者の主張も妥当なものと言えるだろう。

1月18日時点『Transfermarkt』参照、筆者作成
1月18日時点『Transfermarkt』参照、筆者作成

◆まだ伸びしろは十分

もちろん、『Transfermarkt』の市場価値がすべてではない。冨安には改善すべき点もある。シニシャ・ミハイロビッチ監督は、頻繁に「狡猾さが足りない」と話してきた。ザーラ記者も「理想のポジションは右サイドバック」「カンピオーネ(最高級)ではない」と指摘している。

それでも、冨安の評価が右肩上がりなのは確かだ。今季は左サイドバックもカバーし、指揮官から最終ラインのあらゆる位置をカバーできると称賛された。『tuttobolognaweb』は、「堅実で多才、複数の役割をこなせ、そして伸びしろ十分。まだ22歳だ」と伝えている。

守備の国イタリアで、冨安がリーグを代表する存在になる日が訪れることを期待したい。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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