学校の施設や設備は安全か〜新学期を前にあらためて点検を #専門家のまとめ
お子さんの通う学校の施設や設備に、安全上の問題が隠れているかもしれません。今、全国各地の学校で、施設や設備の老朽化が進み、児童・生徒が死亡したり、重大なけがを負うという事態が起きています。まもなく新学期、学校施設や設備の安全性をどう確保すれば良いのでしょうか。現状と課題、解決方法をまとめます。
ココがポイント
▼福島市で、学校設備や備品の点検と修繕が行われることになった
・校舎外壁 緊急修繕へ 福島市のほぼ全ての市立小中学校と幼稚園 コンクリ片落下の恐れ 年度内に71施設(福島民報)
▼2021年、老朽化したバスケットボールのゴールが落下し、女子生徒がケガをした
・設置30年のバスケゴール、業者点検されず落下事故 北九州の中学校(西日本新聞)
▼2021年、校庭の防球ネットの支柱が倒れ児童らに直撃、児童ひとりが死亡し、もうひとりも重傷
・防球ネット倒れ、児童死亡 宮城・白石の小学校で放課後(朝日新聞デジタル)
▼2024年、有識者会議が「学校における安全点検要領」を了承、文科省から要領が出されることになった
・学校安全の点検表をデジタル化~「学校における安全点検要領」文科省・有識者会議(教育家庭新聞)
エキスパートの補足・見解
上記報道にもあるように、施設の老朽化や、施設・設備の不十分な点検が原因で、こども達が重大なケガを負うケースが相次いでいます。
老朽化については、学校の定期点検時に、設備等の破損、故障、劣化等についてチェックされています。しかし、たとえばボルトの締め具合など、外からの目視ではわからないものもあります。今回紹介したバスケットボール・ゴール落下事故は、溶接部分の劣化、または破断が原因ではないかとみられていますが、そのような状態を目視で見分けることはできません。
何を、また、どこを対象に、どのように点検するか、また、過去に不具合やケガが起きていないか、起きていたのであれば、どのような補修がされたのかといった履歴も含めてリスト化し、「備品台帳」とは別の台帳を作成することが求められます。
2024年3月、文科省から学校の安全点検について、具体的かつ詳細な要領が出されました。場所別の解説動画も用意されており、充実した内容になっています。ただ、学校の先生方だけでこの内容を実施することは時間的にも難しいと思われますので、学校教職員と外部の専門家が一緒になって学校の安全について話し合い、点検や整備、そしてこの「要領」の実践について、検討する必要があると考えます。