校舎外壁 緊急修繕へ 福島市のほぼ全ての市立小中学校と幼稚園 コンクリ片落下の恐れ 年度内に71施設
福島市は23日、ほぼ全ての市立小中学校と幼稚園で校舎や体育館の外壁が劣化してコンクリート片の落下などの恐れがあり、対象の71施設で今年度中に緊急修繕すると発表した。市は定期的な点検と修繕を進めてきたが、小中学校の約7割が築40年を超え、老朽化は深刻だ。保護者は「子どもたちが安心して通える環境にしてほしい」と切望する。 市によると、6月に三河台小で校舎4階の軒下部分から大きさ10~15センチのコンクリート片が剥がれ落ち、駐車していた教職員の車上部に穴が空いたが、けが人はいなかったという。これを受けて市が全小中学校(ふくしま支援学校を除く)と幼稚園を対象に目視などで点検したところ、72施設中、西根中以外の71施設の校舎や体育館で早急な修繕が必要な箇所が見つかった。外壁のひび割れから雨水が染み込むなどしてもろくなっている箇所があるという。 児童、生徒、園児の安全を確保するため、外壁などの危険箇所を補修する。高所作業車が入れない場所はネットで覆い、落下を防ぐ。特に劣化が進んでいる三河台小と福島二小では、校舎屋上の防水化や外壁の全面改修を行う。
市は3年に1度、全ての学校施設で法定点検を行い、必要に応じて順次修繕を進めている。しかし、支援学校を除く小中学校62校のうち48校が築40年を超えており、市の担当者は「修繕は順次進めているが、作業が追い付いていない」と実情を明かす。 小さな子どもがいる保護者は早急な対策を求める。小学1年と3年の男児がいる会社員男性(47)は「息子に(コンクリート片が)落ちたらと思うと怖い。早く対応してほしい」と訴えた。 市は9月2日開会の通年議会9月定例会に関連事業費6億円を盛り込んだ一般会計補正予算を提出する。木幡浩市長は23日、提出議案の発表会見で「維持管理の不十分さがあった。早急に対策に取り組まないといけない」と述べた。 ■福島県内でも一部校舎 老朽化課題 福島市以外でも一部の小中学校の校舎の老朽化が課題となっている。いわき市教委によると、同市では3年に1度の法定検査に加えて市が毎年、独自に営繕調査を行っている。近年、老朽化による外壁落下などの事案が確認されており、部分的な改修を行っているという。
大規模改修や長寿命化は築年数や統廃合の有無などを踏まえて優先順位を付けているという。担当者は「学校数が多く、限られた財源の中で老朽化にどう対応していくかが課題だ」と話す。 郡山市では、市内の全小中学校の外壁や床などの点検は3年に1度、排水管などの設備点検は毎年行っている。会津若松市は各校で安全点検を実施し、修繕の必要があるとみられる場合は市教委に報告している。