女子バレー美人姉妹選手も来日中止。日韓関係の悪化はスポーツ界にも影を落とすのか
韓国スポーツを取材する身としては看過できないニュースが飛び込んできた。7月26日、高麗人参を製造・販売する韓国人参公社(略してKGC)が運営するスポーツチームが、この夏に予定していた日本での合宿を中止すると発表したのだ。
KGCは男子プロバスケットボールKBLに属する安養(アニャン)KGC人参公社と女子バレーボールの最高峰であるVリーグに属する大田(テジョン)KGC人参公社という2つのチームを持つ。
特に女子バレーの大田KGC人参公社は、韓国女子バレーボール界屈指の美人姉妹ハン・ソンイ(姉はハン・ユミ)やファッションモデルとして活動していたこともあるアメリカ出身のアレイナ・バーグスマなど人気選手も擁するチームだ。
(参考記事:“Vリーグ女神”に“美人姉妹”、日本との因縁も。韓国美女バレー選手ベスト6を一挙紹介【PHOTO】)
だが、大田KGC人参公社は8月下旬から関西圏で強化合宿を行なう予定だったが、中止することにしたという。チーム側の公式発表によると、「最近の韓日関係の悪化による国民感情を考慮して中止を決めた」らしい。
「国民感情を考慮して中止を決めた」
周知の通り、昨今は日本と韓国の関係が冷え込むどころか最悪の状態だ。
韓国では日本製品の不買運動が大々的に行なわれており、それにともなって日本旅行を自粛・自制・ボイコットする雰囲気も生じている。プライベートで日本旅行した芸能人がその様子を自身のSNSにアップすると、一部のネットユーザーはもちろん、メディアからも「軽率な行動だ」と指摘されてしまう状況だ。
KGC人参公社はそうした国内の雰囲気を察知して日本での強化合宿を中止したようだが、日本での強化合宿中止を検討しているのはKGC人参公社だけではないらしい。
ほかにも中止を検討しているチームがある
韓国メディアの情報によると、KBLの10クラブ中7〜8のチームが日本でのサマーキャンプを予定していたが、いくつかは中止の方向で検討しているという。
韓国のVリーグも日本同様に男子部と女子部があるが、9月6日〜12日まで大阪遠征を予定していたA、9月5日〜11日まで静岡でのサマーキャンプを予定していたBも、中止の方向で傾いているらしい。
もともと韓国のプロバスケやプロバレーのチームは、新シーズン開幕前の準備を日本で行うことが多かった。
日本には施設が整った練習環境があり、練習試合の相手も多く、何よりも隣国なので渡航費や滞在費といった費用面はもちろん、生活文化や食生活も近いので人気のキャンプ地だった。
そうしたメリットや効果も知っていながら、「人気が命のプロスポーツが国民感情に逆行できないという考えのせいで、そういう決断に至ったのだろう」(『スポーツソウル』)というのだから、いよいよ日韓関係の悪化がスポーツ界にも影を落とし始めたと言える。
韓国プロ野球やサッカーKリーグにも影響が!?
そして、今の関係悪化が長引けば、韓国プロ野球やサッカーのKリーグも無視できなくなるだろうというのが、大方の見方でもある。
例えば今年春、韓国プロ野球10球団の多くが日本でキャンプを行なっている。SKワイバーンズ、斗山(トゥサン)ベアーズ、ハンファ・イーグルス、KIAタイガース、サムスン・ライオンズ、ロッテ・ジャイアンツ、LGツインズなどがシーズン前のスプリングキャンプを沖縄で行なっている。
KリーグではFCソウルが鹿児島で、蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)が宮崎で、城南(ソンナム)FCが御殿場で、光州(クァンジュ)FCが沖縄でシーズン前の2次キャンプを実施しており、連覇中の王者・全北現代(チョンプク・ヒョンデ)に至っては鹿児島で1カ月近くキャンプを行なって今季を迎えているのだ。
『スポーツソウル』がプロ野球やKリーグの複数の関係者に取材したところによると「一般的に9~10月になると、次シーズンのキャンプ日程を計画する。日本キャンプを好むチームの大部分が、練習日程を決める時期まで韓国国内の状況の推移を見守り決める考えのようだ」という。
現在のような状況が続けば、プロ野球やKリーグでも日本でのスプリングキャンプを断念するチームが増えるというわけだ。
いずれにしても、KGC人参公社の中止発表がそのキッカケとなり、日本での合宿や遠征を中止するチームが増えてしまうのだろうか。スポーツ界も日韓関係の悪化を無視できなくなってしまった現状に、もどかしさを感じずにはいられない。