韓国の経済界は岸田総理を歓迎 祝電では輸出厳格化措置の解除を求めず
韓国の世論はメディアをはじめ岸田文雄氏が自民党総裁に選出され、次期総理に内定したことを歓迎していない雰囲気だが、政経分離の経済界だけは誰が総理になっても歓迎する感じだ。
(参考資料:岸田新総裁選出を韓国のメディアはどう伝えたのか? 速報で伝えた韓国メディアの「論調」
韓国商工会議所は今朝、崔泰源(チェ・テウォン)会長が明日(4日)の首相就任を前に岸田文雄自民党総裁にお祝いの書簡(祝電)を送ったことを明らかにした。韓国商工会議所が日本の総理就任に祝電を送ったのは異例で、今回が初めてである。
韓国商工会議所によると、韓国財閥3位のSKグループの会長でもある崔会長は祝電で「韓国と日本が地理的に最も近い隣国であり、領域通商と製造業の先導国である」と述べ、「互いの強みをベンチマーキングし、両国関係の多くの挑戦課題を乗り越えていくことを望む」と経済分野で日韓が共に手を携えることの重要性を強調していた。
また、「今後、新型コロナウイルスが落ち着けば、両国の企業人が往来し、両国の友好増進と経済協力に関する議論を続けることを望む」と日本への期待感を滲ませていた。
日本の経団連にあたる全経連(全国経済人連合)にはまだ動きはないが、昨年、菅義偉首相就任時には許昌秀(ホ・チャンス)会長の名で祝電を送っていたので岸田総裁が首相に正式に就任すれば、商工会議所に続いて祝電を送るものとみられる。許会長は財閥4位のLGグループから独立した大企業グループ、GSグループ(財閥8位)の会長である。
全経連は昨年の祝電では菅首相に新型コロナウイルスの感染拡大による企業人の入国制限の解除と貿易や投資拡大での協力を要請していたが、日本が2019年7月から施行している対韓輸出厳格化措置の解除については一切触れていなかった。
崔会長も祝電では輸出厳格化については一言も言及していなかったが、問題にしていないわけではない。韓国商工会議所は昨年7月に日本の輸出規制1周年に際してKOTRA(大韓貿易投資振興公社)と共同で日本と取引している韓国企業302社に対してアンケート調査を実施していたことからも韓国経済に与える影響を憂慮していたことがわかる。
しかし、調査の結果、日本の輸出規制による被害については84%が「被害はなかった」と回答し、「被害があった」は16%に過ぎなかったことがわかった。
被害の内容も「取引に時間を要した」が57%と最も多く、「取引規模が縮小された」と「取引を打ち切られた」はそれぞれ32%、9%に留まっており、影響は危惧するほど深刻ではなかった。
実際に、今後の日本企業との関係に関する設問では「協力を強化すべき」が24.2%と、全体の4分の1程度で、「現水準を維持すべき」が25.2%、「協力を弱めるべき」が25.8%となっていた。
(参考資料:韓国経済の「日本離れ」を加速させた日本の対韓輸出厳格化措置 丸二年を回顧する)
韓国政界では岸田氏が自民党総裁に選出されたことに同じ政権与党の「共に民主党」の宋永吉(ソン・ヨンギル)代表が祝意を表明していたが、岸田総裁が4日の臨時国会で正式に第100代首相に指名されれば、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が祝電を送ることになっている。
文大統領は菅首相就任時も当日に祝電を送り、8日後に電話会談を行っていた。