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SMILE-UP.によるBBCへの抗議、両者はどこで衝突しているのか #専門家のまとめ

松谷創一郎ジャーナリスト
BBC『ジャニーズ解体のその後』より。

 4月26日、SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)が、イギリスの公共放送・BBCに対して抗議文書を送付したと公表した。3月30日に放送された番組『捕食者の影──ジャニーズ解体のその後』についての内容に対する抗議である。

 ジャニー喜多川氏による性加害を問題化した突破口となったのは、昨年3月のBBCの報道だった。今年3月に放送されたのはその続編だ。両者はどのような言い分なのか、以下にまとめた。

ココがポイント

▼SMILE-UP.は、東山発言は本来の趣旨とは異なっており、公表しない約束だった被害者との面談も明らかにされたと抗議

・BBCへの抗議文書の送付について(SMILE-UP./2024年4月25日)

▼東山社長が誹謗中傷をする人についての発言をしたBBCの報道(当該箇所は29分15秒あたりから)

▼動画に先んじて公開されたBBCの記事版には、SMILE-UP.が省略されたと主張する東山発言も含まれている

・ジャニーズ解体のその後……ほかにスタッフ2人がタレントに性的加害(BBCニュースJAPAN/2024年3月28日)

▼NHKの取材に対してBBCは、現在調査中と回答

・「SMILE-UP.」がBBCに抗議の文書 “発言が趣旨と異なる使用”(NHKニュース/2024年4月25日)

エキスパートの補足・見解

 SMILE-UP.は、東山発言の一部が省略されたと主張するが、その部分がなくとも全体の趣旨は大きく変わらない。誹謗中傷を全面肯定していないことはわかるが、批判されているのは「言論の自由もあると思う」と誤解される発言をしたからだ。放送前に釈明の連絡も入れたそうだが、それも誤解を解くほどではない。

 また昨年10月9日にSMILE-UP.は「虚偽の話をされているケースが複数ある」と声明を出したが、被害者のひとりが亡くなったのはその4日後だ。なぜ、いまも公開されているその声明を取り下げないのか? そんな声明に虚偽申告の抑止効果はなく、逆に被害者への誹謗中傷を強めることへの想像力はないのだろうか。

ジャーナリスト

まつたにそういちろう/1974年生まれ、広島市出身。専門は文化社会学、社会情報学。映画、音楽、テレビ、ファッション、スポーツ、社会現象、ネットなど、文化やメディアについて執筆。著書に『ギャルと不思議ちゃん論:女の子たちの三十年戦争』(2012年)、『SMAPはなぜ解散したのか』(2017年)、共著に『ポスト〈カワイイ〉の文化社会学』(2017年)、『文化社会学の視座』(2008年)、『どこか〈問題化〉される若者たち』(2008年)など。現在、NHKラジオ第1『Nらじ』にレギュラー出演中。中央大学大学院文学研究科社会情報学専攻博士後期課程単位取得退学。 trickflesh@gmail.com

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