「カバのうがい薬」の争いが第2ラウンドに
「イソジン」の商標権ライセンスの終了に伴い、明治が米ムンディファーマ社側にカバのイラストの使用を行なわないよう仮処分を申し立てた事件については既に書きました。
しかし、今日、「"カバ"パッケージめぐり明治を相手取り仮処分申請」という朝日新聞の記事を見ました。なんでこのタイミングでまた記事化するのかと思いましたが、よく読むと、何とムンディファーマ社が明治を逆に訴えたということだったのですね。カバのイラストを使ったうがい薬(イソジンという商標を使ってなくても)の販売停止の仮処分を求めたそうです。両社がそれぞれ相手方商品の販売停止を求めるというガチンコの争いになっています。
ムンディ社のプレスリリースによると、申立の根拠は、「不正競争防止法に基づく差止請求、契約に基づく競業行為差止請求、商標権に基づく差止請求等」です。ひょっとすると、ムンディと明治の商標権ライセンス契約に「明治はムンディの商標の価値を毀損する行為をしない」という条項が入っており(これ自体は十分考えられることです)、これに違反すると考えているということなのかもしれません。不正競争防止法と商標権についてはどういう根拠なのか現時点の情報だけではよくわかりません。
一方、カバのイラストを使用したテレビCM等に投資をしてカバのイラストの商標の価値を高めたのは明治なので、ムンディはこれにフリーライドしていると考えることもできます。報道されている事実だけから判断すると、明治側の考えの方が納得行くように思えます(両社の契約内容等、外部からはわからないことも多いので断定はできませんが)。
これらの二つの仮処分申立(そして今後起こりえる訴訟)の結果がどうなるのかも興味深いですが、両社の間でこれだけ話がこじれた経緯にも興味があります。
ちなみに、リッツやオレオ等の有名なビスケット類の商標について、ヤマザキナビスコと米ナビスコ社(の商標管理会社)の間でも今年の8月に商標ライセンスが完了することになっていますが、米ナビスコ側は、
とのコメントを発表しており、(少なくとも表向きは)円満に契約完了したのだなあという印象を持ちます。これが普通の企業対企業のあり方だと思います。カバにこだわってもめているとWin-WinならぬLose-Loseの結果になってしまいそうな気がします。