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福岡堅樹、順天堂大学医学部に合格。指揮官、同僚の思いは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
捕まっても簡単に倒れない。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 ラグビーワールドカップ日本大会の日本代表として8強入りの福岡堅樹が2月20日、自身のツイッターで順天堂大学医学部への合格を報告した。

 この日は東京・秩父宮ラグビー場で国内トップリーグの開幕節に先発。後半23分にインターセプトからのトライを決め、リコーに55―14で大勝していた。

 2019年秋の日本大会では快速を活かして4トライを挙げた福岡は、かねて医学への道を志していた。当初はオリンピック東京大会での男子7人制ラグビーでもプレーを目指したが、同大会の延期を受け今季のトップリーグを経てスパイクを脱ぐと決めた。

 試合後の記者会見では、ロビー・ディーンズ監督、福岡と同じく日本大会の代表選手だった坂手淳史キャプテン、松田力也が福岡に関する談話を求められた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――福岡選手について。

ディーンズ

「我々が福岡に求めることと言いますか、それより、彼は大事な試合で100パーセントのパフフォーマンスを出せる選手だと信頼しています。非常にコーチングのしがいのある選手で、一緒にプレーしている選手にとっても誇りに思える選手です。

医学の試験を受けながらラグビーをプレーをするのは並大抵のことではない。人間にできる限界がないことを証明してくれる素晴らしい選手です」

坂手

「堅樹とは同期で、ずっとパナシニックでラグビーをしています。日本代表でも一緒にプレーしています。グラウンド上でも信頼できる、グラウンド外でもいい準備をする選手です。クレバーで、ウイングの位置から全体に声を通してくれる選手でもある。堅樹のトップリーグ最後のシーズンをいい形で終えたいですし、堅樹自身もそう思っていると思います」

松田

「福岡選手にとってラストシーズンで、トップリーグは(発展的解消のため)最後。優勝して送り出したいと思っていると思いますし、そのなかでも福岡選手はワールドクラスのパフォーマンスを発揮してくれて、仲間としても心強い。スタンドオフとして、頼り過ぎず、頼るところは頼りながら、堅樹さんのよさを出せるようにゲームメイクしたいと思っています」

 件のつぶやきは17時13分。それよりもやや前のタイミングで実施されたオンラインでの記者会見に際し、報道陣からは今季が最後となる福岡の登壇を求める声もあった。試合当日の記者会見以外の取材は、感染症対策の一環で禁じられている。

 敗れたリコーの会見時は音声トラブルが生じ、出席者の声が届かず何度もリテイクが求められた。予定より約1か月遅れて始まったトップリーグは、生みの苦しみの只中にある。

 それでも芝に立った戦士たちは、上質なパフォーマンスで公式で「3941人」のファンの注目を集めていた。

 加速力と足腰の強さで突破を繰り出した福岡然り、強烈な突進で相手の反則を誘った坂手然り、首尾よくパスを回して機を見て仕掛けた松田然り。

 会見に出席した三者はこうも述べた。

ディーンズ

「試合に戻ってこられていい時間になりました。選手1人ひとりの表情からもわかる通り、それぞれが本当にエンジョイしました。きょうはピッチコンディションもよく、グラウンド整備の方々にもお礼を申し上げたい。通常、第1節ではボールが散らかるが、練習から正式な大会のために適応し、高いパフォーマンスを発揮して攻撃できました。今日の試合では、お客さんは楽しんでくれましたし、次週もいいラグビーを演出したい」

坂手

「いままでのトレーニングマッチも無観客だったので、久しぶりに皆さんの前でプレーできて、とても楽しかったです。スタートからパナソニックの強みを出そうと言いながらゲームに臨んだのですが、ロビーさんの言う通り、ボールが少し落ちてミスになることがありました。でも、選手同士でよくコミュニケーションが取れましたし、緊張するなかでもよく考え、コミュニケーションを取って修正できたのはすごく大きいと思います。後半入ってきたメンバーがゲームを決定づけるプレーができたことに関しても心強い(日本代表の堀江翔太がスクラムのリードと軽快なオフロードパスで目立った。福井翔大も好ジャッカルを披露)。チーム全体での勝利だと思っています」

松田

「トップリーグが開催されることに感謝してプレーしようと思っていましたし、チームをコントローすることを意識しました。前半は風下で相手にチャンスを与える場面がありましたけど、自分たちにフォーカスを置いて、相手にプレッシャーをかけ返せるようにいいコントロールができたこともあります。試合を通しパナソニックが主導権を握れたのはよかった。次戦に向けてもおごることなく準備をしたい」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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