Yahoo!ニュース

元浦和レッズのエスクデロ競飛王が語る「オーストラリアで」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:アフロ)

 元浦和レッズのエスクデロ競飛王の今シーズンが終わった。 

 2005年に浦和レッズでプロデビューし、2012年まで在籍。その後、韓国の強豪であるFCソウル、中国の江蘇国信舜天足球倶楽部、京都サンガ、蔚山現代FC、栃木SC、チェンマイ・ユナイティッド、エルサルバドル1部リーグのアトレティコ・マルテと渡り歩き、オーストラリアのバンユール・シティ、今季は同国3部リーグのノース・ギーロング・ウォリアーズでプレーした。

 26試合中25試合にスタメンで出場し、5ゴール11アシストしたが、降格が決まった。

写真:アフロ

 シーズン終盤にインタビューすると、35歳のベテランはオーストラリアのサッカーを次のように語っていた。

 「現役と並行して、特別コーチとして中・高校でサッカーを教えています。学校はメルボルンから南に1時間くらいの場所、ギーロングの海のそばにあるんですよ。学校ですから、そこに通いたい子がTRYOUTを受けられます。分かりやすく説明すると、日本の中高一貫の私立校みたいな感じですね。

 僕らのボスが、元クロアチア代表選手で、現役時代はアヤックスでプレーしていた人で、彼が『今週は1対1』『今週はポゼッション』とか、テーマを投げてくるんです。練習内容は全て僕らが決めています。

 中1〜3、高1〜3とあって、月曜日から金曜日まで、1学年ずつ見るんです。月曜日は、朝8時から午後3時まで、3つの学年を指導します。一応、9時から10:30までが中3、11:15から12:30までは中1。13:30から14:45まで中2という具合で、1日に3回やるんです。当然、学年が変わればメニューも変わってきます。中3の練習は、中1では出来ないですから。1チーム18人とか19人とかいるんで、メニューを考えるのが大変です。レベル的には、浦和レッズのジュニアユースとかユースと同じくらいですね。

写真:アフロスポーツ

 オーストラリアのサッカーは、かなり人気がありますよ。土日に高速を運転していると、色んな場所にサッカーグラウンドがあって、どこででも試合をしている様子が目に入ってきます。男子も女子もですね。人数も多く、親も熱心です。

 元々サッカーが盛んですが、他の国には知られていないでしょう。13チームのAリーグだけでその下が無く、サッカーをハイレベルでやってきた人が少ないんです。だから、教える人のレベルも低く、成長が遅いんです。

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 だから、自分の経験を駆使して子供たちが、本当にサッカーを好きになるように教えています。中3のチームは全オーストラリア大会で16に入ったんですよ。目にみえる変化がありました。自分が持っている物を、次世代に伝えていきたいですね」(つづく)

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事