阪神タイガースの「死のロード」よりはるかに厳しい!! 「時差3時間&片道2600キロのホームゲーム」
ロシアをはじめとする8か国のチームが集う「KHL(コンチネンタル ホッケーリーグ)」は、来月1日に11回目の開幕を迎えます。
▼リーグのスリム化で25チームに
旧ロシア時代から続いた「スーパーリーグ」を発展解消する形で、2008年9月2日にKHLがスタートして以来、拡大路線を突き進んでいたのから一転、近年はスリム化を図り、昨季限りで、ラダ トリヤッチ、ユグラ ハンティマンシースクが下部リーグ(VHL)へ転籍。
今季は7つの国の25チームが集い、ガガーリンカップ(KHLの優勝トロフィー)を争います。
▼NHLの優勝監督を招いたチーム
来月1日から始まるレギュラーシーズンの開幕を控え、2014年のオリンピックが行われたソチをはじめ、各地でプレシーズンゲームが行われていますが、ここへ来て、思わぬ騒動が起こっているチームがあります。
そのチームは、アバンガルド オムスク!
7季前にファイナルまで勝ち上がったのを最後に、近年は好成績が残せずにいることから、昨季までラトビア代表の指揮官を担っていた ボブ・ハートリー(57歳)を、ヘッドコーチ(HC)に招へい!
NHLのコロラド アバランチを、スタンレーカップ(NHLの優勝トロフィー)に導き、その後もジャックアダムス アウォード(最優秀HC賞=カルガリー フレイムス在籍時)に選出された実績を持つ指揮官が来たとあって、現地のメディアからの注目とファンからの期待が、かなり高まっている様子です。
▼思いもよらないトラブルが発覚!
大歓迎を受けたハートリーHCも、やる気に満ちて指導にあたっていたところ、思いもよらないトラブルが発覚!
ホームゲームの会場となるオムスク アリーナの施設が、KHLが規定で定める万全の状態でなく、開幕からの利用が困難になったとのこと。
この知らせを受けたKHLは、オムスクのホームゲームを、レギュラーシーズンの中盤以降に移す対応を検討。
しかし、対戦する両チームに限らず、他チームの多くの試合日程も、変更に及んでしまうため断念。
そこで、代わりのホームアリーナを探しに着手。
オムスクの東隣のクラスノヤルスクや、ノヴォシビルスクなど、シベリア中央部の都市にあるアリーナが検討されたものの、最終的にホームアリーナとなったのは、モスクワ中心部の東側にあるバラシハ アリーナに決まりました。
バラシハ アリーナは、かつてKHLに加盟していたMVDのホームゲームなどが行われていた、およそ6000人収容の施設。
旧ソビエト代表の名選手で、1976年の「インスブルック オリンピック」で金メダルを獲得したのち、日本の王子製紙でもプレーしたユーリ・リャプキン氏の故郷とあって「リャプキンアリーナ」と呼ばれることもあるそうです。
▼ホームアリーナは決まっても・・・
これで一件落着! と思われる方も少なくないでしょうが、代わりのホームアリーナは決まっても、まだまだ難題が残っています。
試合は行えなくても、氷上での練習などチームの活動拠点は、引き続き(現時点では)オムスクのままでいる見込みのため、ホームゲームの際には、(連戦が続く時を除き)バラシハへ通うことになる見込み。
ちなみに、オムスクからバラシハまでは、直線距離で2600キロ。
観光やビジネスで行かれた方も多そうな、東京から香港までの直線距離と、ほぼ同じである上、3時間の時差があるだけに、他のチームと同様のホームアドバンテージを得られるのか、疑問符が灯ります。
▼救済策はアウトドアゲーム!?
さらに加えて、対戦回数が多い同じディビジョンのチームとの試合に臨む際も、オムスクが属するディビジョンには、極東のウラジオストク(アドミラル)や、ハバロフスク(アムール)に加え、上海と北京を拠点とする(クンルン レッドスター)が名を連ねているため、ロードゲームの期間や移動距離も長くなり、厳しい戦いを強いられそうです。
KHLは救済措置として、気温が下がり冬本番になってから、オムスクでアウトドアゲームを数試合開催し、ホームタウンのファンへのサービスと同時に、チームの収益へつなげるプランも抱いている模様。
ホームアリーナにも増して、多くのファンが観戦できる屋外スタジアムにリンクを設置して行うアウトドアゲームは、昨季もヘルシンキで開催され活況だったことから、実現する可能性は高そうです。
しかし、そうは言っても、今季のオムスクは類を見ないほどのシビアなスケジュールに挑むとあって、阪神タイガースの「死のロード」よりはるかに厳しいシーズンへ臨まなくてはなりません。
それだけに、白羽の矢を立てられたハートリー新HCの手腕に、大きな期待が集まりそうです。