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千鳥・かまいたち・ダイアンMCの『FNS27時間テレビ』に期待が高まっている理由

ラリー遠田作家・お笑い評論家
(写真:アフロ)

今年の夏にフジテレビの『FNS27時間テレビ』が4年ぶりに復活することになった。MCを務めるのは千鳥、かまいたち、ダイアンの3組であり、『千鳥の鬼レンチャン』をベースにしてさまざまな企画が行われるという。

この復活のニュースは、テレビ・お笑い好きの自分にとっては心の底からワクワクするような知らせだった。なぜなら、久しぶりにお笑い主体の『27時間テレビ』が見られるかもしれない、と思ったからだ。

80~90年代のテレビ黄金期のフジテレビは「お祭りムード」を作るのが一番上手い局だった。今では当たり前になった生放送のハプニング性を重視する番組作りや、丁々発止の芸人同士のやり取りといったものは、『笑っていいとも!』『オレたちひょうきん族』などの当時の人気番組を源流としているものだ。

そんなお祭り大好きフジテレビを象徴する番組が、夏休みの時期にネットワーク局も巻き込んで丸一日にわたってぶっ通しの生放送をする『FNS27時間テレビ』シリーズだった。その時点で最も勢いのあるバラエティ番組とその出演者が看板になって、さまざまな企画を繰り広げる。特に、深夜枠では何が起こるかわからなくて目が離せなかった。2003年に泥酔した笑福亭鶴瓶が局部露出騒動を起こしたのも、この番組である。

初期はタモリ、ビートたけし、明石家さんまに鶴瓶を加えた「お笑いBIG4」が、中期にはナインティナインと『めちゃイケ』チームやSMAPなどがメインを張ることが多かった。

しかし、近年に入ると徐々にお笑い色が薄まっていき、お笑い系の企画が少なくなっていった。2017~2019年の直近3回に至っては、テーマが「歴史」「食」「スポーツ」。謎の情報バラエティ路線へと舵を切り、明らかに迷走しているように見えた。そして、2020年以降はコロナ禍の影響もあってずっと休止されていた。

それが久しぶりに芸人メインで復活することになったのだから、期待しないわけにはいかない。『千鳥の鬼レンチャン』を軸にするというのも納得できる。

なぜなら、この番組は抜群の高視聴率というわけではないが、ネットとの親和性も高く、若い世代に支持されていて、今のフジテレビの看板を背負う資格はあるからだ。また、挑戦者が体を張ってさまざまな種目に挑むゲーム的な要素があり、生放送の大型特番にはぴったりのフォーマットである。

さらに、普段から『鬼レンチャン』にレギュラー出演している千鳥、かまいたちの2組に、新たにダイアンを加えたのも評価できる。ダイアンのユースケはもともと番組内で声の出演をしていたが、津田篤宏は新戦力として加わることになる。この座組のキーマンは間違いなく津田である。

千鳥・かまいたちの4人の中では、濱家隆一がイジられ役に回ることが多いが、本来の濱家のポジションはそこだけではない。イジられ役として抜群のポテンシャルを誇る津田が加わることで、さまざまな可能性が広がるようになった。

個人的には、『27時間テレビ』ではロケ要員としての津田の活躍に期待したい。千鳥やかまいたちにイジり倒され、追い込まれることで味が出る。局部露出とまではいかなくとも、それなりのパフォーマンスを見せてくれるはずだ。

TBSの大型特番『お笑いの日2022』でも、津田はランジャタイとのコラボネタ「ゴイゴイスーミュージカル」で話題になっていた。彼には祭りの主役を張れる器があるのだ。

千鳥、かまいたち、ダイアンの3組が作る世界観というのは、タモリやSMAPが積み上げてきたこれまでのフジテレビの王道バラエティ路線とも毛色が違うものだ。そこからどういうものが生まれるのかというのも興味が尽きない。

今夏の『FNS27時間テレビ』が、お祭りムード全開のまっとうなお笑い特番であれば、往年のファンとしてはそれだけで満足である。

作家・お笑い評論家

テレビ番組制作会社勤務を経て作家・お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など、多岐にわたる活動を行う。主な著書に『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと『めちゃイケ』の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)、『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)がある。マンガ『イロモンガール』(白泉社)では原作を担当した。

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