9日ぶりの実戦は、ルートインBCリーグ合同チームとの練習試合《7/21 阪神ファーム》
12日のウエスタン・オリックス戦(鳴尾浜)が終わったたあと、雁の巣でのソフトバンク戦を2つとも流してオールスター休みに入った阪神ファーム。フレッシュオールスターゲームも台風で史上初の中止になり、何だか長いこと試合を見ていないなあという気がしますね。でも21日は、鳴尾浜に『ルートインBCリーグ 合同チーム』を迎えて練習試合が行われ、久しぶりにスコアをつけました!
BCLのメンバーにも盛り上がったスタンド
これまで北陸へ出かけて富山、石川、福井と単独チームとの試合は何度かあり、鳴尾浜でも福井と対戦したんですけど、“合同チーム”を迎えたのは初めてでしょうね。しかも関西に近い福井、石川、富山の3チームだけかなと勝手に思っていたら違いました。参加したのは、今季から8チームの編成になったBCリーグのADVANCE-West(福井、石川、富山、信濃)の福井、石川、富山、そしてFUTURE-East(新潟、群馬、武蔵、福島)の新潟、福島の計5チームによる選抜メンバー。監督、コーチは福井から吉竹春樹監督と織田一生コーチ、藤井宏海コーチです。福島の岩村明憲監督も私服で来られていたそうですよ。
参加メンバーの中で、石川の三家和真選手は昨年まで広島にいた選手で、玉置投手や阪口哲也選手の市和歌山の後輩。福島の貴規(佐藤たかのり)選手は、ヤクルト・由規投手の弟さん。また新潟の桑田真樹選手は桑田真澄さんの息子さん。また本当の漢字が表記できないのでわかりにくいと思いますが、石川の桑原凌選手は広島のルーキー桑原樹選手のお兄さんと、話題豊富な顔ぶれでした。
なかなか珍しい名前が並ぶクリーンアップで、3番は富山の大上戸健斗(だいじょうご けんと)選手、4番は先の桑原選手で、5番が新潟の纐纈隼基(こうけつ としき)選手。何より「纐纈」の字が一発変換できたことに驚きました!パソコンだけじゃなく、スマートフォンや携帯電話でも出ますね。
こちらの打線は盛り上がらず……
さて試合は、先日のフレッシュオールスターゲームの先発予定を台風で流し、さらに“雨男”ぶりが定着してしまった横山投手の先発。雨天中止に加え、体調不良もあって6月25日以来の登板でしたが、登板間隔の空いている投手も多く小刻みな継投になりました。シーズン前期(4月~6月)にBCリーグ・福井へ派遣されていた田面投手も登板、三者凡退の好投を披露しています。
《交流(練習)試合》7月21日
阪神- BCリーグ合同 (鳴尾浜)
BCL 020 010 020 = 5
阪神 001 000 000 = 1
◆バッテリー
【阪神】横山-金田-守屋-田面-藤原-伊藤和 / 梅野-小豆畑(7回~)
【BCL】藤岡-渡邉-高塩-竹林-長谷川-佐藤-栗山-上條-中西 / 中溝-佐伯(4回~)-笹平(7回~)
◆二塁打 北條、岡下
<先攻・BCL>
◆打撃 (所属)(打-安-点)
1]中:森 (福井) (3-0-0)
〃投:中西 (新潟) (1-1-0)
2]右:萩島 (新潟) (4-1-0)
〃右:桑田 (新潟) (1-0-0)
3]三:大上戸 (富山) (3-1-0)
4]指:桑原 (石川) (3-1-1)
〃打指中:貴規 (福島)(1-1-0)
5]一:纐纈 (新潟) (4-0-0)
6]左:渡辺 (新潟) (2-1-0)
〃遊:岡下 (福島) (2-0-0)
7]捕:中溝 (福井) (2-0-0)
〃捕:佐伯 (富山) (2-0-0)
〃捕:笹平 (福島) (1-0-0)
8]遊左:三家 (石川) (2-1-0)
9]二:岡野 (富山) (3-0-0)
〃二:加藤 (福井) (1-0-0)
◆投手(打-振-球/失点) 最速キロ
藤岡 (福井) 1回 (1-0-0 / 0) 146
渡邉 (新潟) 1回 (2-1-0 / 0) 136
高塩 (福島) 1回 (2-2-0 / 1) 142
竹林 (富山) 1回 (0-1-0 / 0) 131
長谷川(石川) 1回 (0-0-0 / 0) 139
佐藤 (富山) 1回 (0-3-0 / 0) 140
栗山 (福島) 1回 (0-2-0 / 0) 144
上條 (石川) 1回 (1-1-0 / 0) 139
中西 (新潟) 1回 (1-2-0 / 0) 141
<後攻・阪神>
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)
1]右:伊藤隼 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
〃右:緒方 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
2]遊三:北條 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
3]中:横田 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0)
〃捕:小豆畑 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
4]左:ペレス (3-1-1 / 1-0 / 0 / 0)
〃左:中谷 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
5]三一:陽川 (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0)
6]捕:梅野 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃中:柴田 (2-0-0 / 2-0 / 0 / 0)
7]一:黒瀬 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
〃二:西田 (2-0-0 / 2-0 / 0 / 0)
8]指:一二三 (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0)
〃打指:原口 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
9]二遊:荒木 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
◆投手(打-振-球/失点-自責)最速キロ
横山 2回 45球 (3-5-2 / 2-2) 147
金田 2回 29球 (2-0-0 / 0-0) 148
守屋 2回 31球 (2-1-0 / 1-1) 140
田面 1回 15球 (0-2-0 / 0-0) 138
藤原 1回 25球 (2-2-1 / 2-2) 142
伊藤和 1回 20球 (0-3-0 / 0-0) 141
試合経過
まず投手陣。横山は1回、先頭の森に右前打されるも三振と梅野の盗塁阻止で2死。大上戸も147キロの真っすぐで空振り三振、3人で片づけます。2回は桑原に左前打されたものの連続三振で2死、しかし死球と四球が続いて満塁となり、9番・岡野に左前タイムリー。二塁走者はレフト・ペレスからの送球がわずかに逸れて生還を許しました。ついで金田が登板して3回は内野ゴロ3つで三者凡退。4回は一ゴロ2つのあと中溝と三家に連打されますが、岡野を二ゴロに仕留めて無失点。
3人目の守屋は5回、1死から萩島に右前打され、次の投ゴロで1死二塁。拍手で迎えられて登場した代打・貴規が左前タイムリー。3点目を失いますが、6回は内野ゴロ2つと空振り三振で三者凡退。以降は1人ずつの継投で、7回の田面は“もと同僚”・福井の加藤を投ゴロ、同じく福井の森を空振り三振、途中出場の桑田も空振り三振に仕留め15球で三者凡退でした。
8回は藤原が登板。2死を取ってから纐纈にストレートの四球を与え、岡下の左中間二塁打で一気に還します。さらに笹平の左前タイムリーで、この回2点を追加されました。最後は伊藤和が9回を空振り、空振り、見逃しの三者連続三振!この日投げた6投手のうち、被安打0は田面と伊藤和の2人だけ。三振は金田を除く5投手で計13個奪っています。
一方、打線は1イニングずつ交代する投手陣をなかなか捉えられません。1回は2死後に横田が中前打、また2回は梅野と一二三が左前打を放つも無得点。3回は1死から北條が左中間フェンスを直撃する二塁打を放ち、横田の二ゴロで2死三塁となり、ペレスが中前タイムリー!1点を返しますが、得点はこれだけです。4回から7回までは見事に三者凡退…。そのうち6回は佐藤に横田、ペレス、陽川のクリーンアップが揃って空振り三振。7回も栗山に柴田と西田が空振り三振を奪われたため、5者連続三振となりました。
8回は1死から緒方のサード内野安打があったものの相手の好守備にも阻まれて得点できず。9回は先頭の中谷が左前打を放ちますが、陽川の三ゴロで二塁封殺、後続の柴田と西田はここも連続三振で試合終了。BCLの9投手は全員が無四球で、こちらは相手とほぼ同じの計12三振を喫して完敗です。
金田、守屋 反省と次への課題
試合後はバッティングや守備練習はなく、全員でのポール間ダッシュが行われました。“ポール~センター間”はよく見ますが、レフトからライトをフルで走る“ポール間ダッシュ”は久しぶりのような気がします。まあ私が見ていないだけかもしれませんが。試合に出ていない森越選手も気合いを入れて走っていましたねえ。では選手のコメントをご紹介しましょう。ただし横山投手と藤原投手はタイミングが合わず話を聞けずじまいです。すみません。
まず金田投手。「前回よりはリズムがありました。球速と、もっと(球の)精度を上げていきたい」。変化球が効果的だったのでは?「2イニング目は変化球をうまく使えました。課題は低めに集めて精度を高めること。そういう意味では1イニング目の球がばらついたことがよくないですね」と、連打を許した2イニング目ではなく、三者凡退でも1イニング目に課題があると言います。相手がBCリーグだったことは関係なく「どの試合でも結果を求めて、1試合1試合やっていきたい」と前を向きました。
守屋投手は失点した5回を「ちょっと力んでいたかも」と振り返り、6回は「梅野さんと“テンポ上げていこう”と話して、うまくいきました」と三者凡退。「次からはテンポよくいこうと思う」と話しています。
伊藤和 好調を維持
続いて、1イニングを三者凡退で投げ終えた2人のコメント。まず9回にすべて真っすぐで3者連続三振を奪った伊藤和投手です。「結果的には3三振でよかったんですけど…」。ですけど?「カウント3-2になることが多かったので。追い込んでから決め切れなかった。1人目が3-2、次は2-2、最後も3-2になってしまって」と反省の弁です。「カウント2-1か。せめて2-2で勝負できるようにしたい」。三振は狙って?「そうですね。追い込んだら狙っています」
このところ好投が続いている、その手応えはあるでしょう?「はい。ボールがいいですね!よくなってきて維持できている。いい感じです。あとはもっとガンが出れば」。この日の最速は141キロですが、もっと早く感じますよ。「感覚がいいので(球速が)出たら嬉しいですけど。でもそこは意識しすぎずに。スピードが出ていても、打たれたりフォアボールじゃ意味がないから。とにかく感覚を大事にして、いまやっていることを続けていきます」と力強い言葉でした。
「いい球を投げられた」笑顔の田面
田面投手は、6月末まで約3か月間を一緒に過ごした福井のチームメイトや、BCリーグで対戦した顔なじみの選手たちと、今度はタイガースのユニホームで相対しました。そこでビシッと抑えたことは大きな自信になるでしょうね。試合後、みんなが乗って帰るバスの前に田面投手が行くと1人、2人と福井の選手たちが集まってきて“同窓会”に。最後は福井から参加の6選手全員と、まるで古巣のごとく寛いだ笑顔の田面投手でした。その様子は写真でご覧ください。
真っすぐもしっかり投げ、それに近いスピードのスライダーがあり効果的だった田面投手。「(速い)スライダーは有利なカウントで投げようと思っていました。ボールになっても。投げられてよかったです」。何か変えたことが?「そう変えたっていうことはないんですけど、福井に行っていた後半からキャッチボールもいい感じでできていたので、ピッチングにもつながったと思います。ブルペンでもよくなって、きょうもいいボールを投げられました」
それにしても、ことし一番というくらいのピッチングだったのでは?「久しぶりだったし、わりとバランスよく投げられた。腕の振りは意識しています。それで体のキレもよくなってきたかなと」。今後に向けては「真っすぐの使い方を考えたりしながらやっていきたい。これまでスライダーをずっと投げてきて、勝負球やカウント球でも真っすぐを投げられたら、スライダーの生かし方も変わってくる。こういうピッチングを公式戦で少しでも出せたら、きょうみたいな意識でいけたらなと思います」とのこと。
なお試合後、福井の選手たちから「きょうはよかったですねえ!福井にいた頃に出してほしかったけど(笑)」と、遠慮のない褒め言葉が飛び出しました。
楽しげなペレス、実戦復帰の伊藤隼
同じく、もとチームメイトや対戦相手がいて、試合前からイキイキしていたペレス選手。しかも3回にタイムリーも放っていますからね。「ファームの公式戦と同じような気持ちで臨みました。これまで同様、継続してやっていくだけ」とはいうものの「知っている選手が何人もいたので楽しんでやろうと思っていた」そうです。はい、とっても楽しそうでしたよ。
また、先月3日に左手親指を亜脱臼してリハビリを続けていた伊藤隼選手が、この試合で本格的に復帰。1番ライトでヒットの打球を2つ処理しただけで守備機会はなく、3打席に立って一ゴロ、空振り三振、右飛という内容でした。久々の実戦ながら「感覚的にはシートバッティングもやっていたので、違和感なく打席に立てたと思う」と言います。「でも結果が出なかったことに悔しい気持ちが強いですかね。感じは悪くないですけど、そこまで、って感じでしょうか」
24日からウエスタン公式戦が再開します。「試合に出ている限りは結果が出た方がいいですし、きょうに関しても実戦の中でしか見えない課題もあったので、それを消化してレベルアップしていきたい」と話す伊藤隼選手。熾烈な戦いが続く1軍には「いつ呼ばれてもいいように準備していたい」と強い気持ちを前面に出しています。