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9月前半にシーズンを終えたトラウトとイェリッチは、MVPを受賞できるのか。2人ともOPSはリーグ1位

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、M.ムスタカス、C.イェリッチ、C.ベリンジャー Jul 8, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)は、すでにシーズンを終えている。クリスチャン・イェリッチ(ミルウォーキー・ブルワーズ)もそうだ。トラウトは9月7日、イェリッチは9月10日の試合が、シーズン最後の出場となった。イェリッチは右の膝頭に自打球が当たり、全治8~10週間。ブルワーズがポストシーズンへ進んでも、間に合わない。

 2人とも、MVPを受賞してもおかしくない成績を残している。トラウトの出塁率.438と長打率.645はア・リーグ1位、イェリッチの出塁率.429と長打率.671はナ・リーグ1位。当然ながら、OPS1.083と1.100もリーグ・トップだ。守備と走塁を含めた総合指標のWARにおいても、ファングラフス版のfWARは、トラウトが8.6、イェリッチは7.7。それぞれのリーグでトップに位置する(ベースボール・リファレンス版のrWARは、ア・リーグ1位の8.3とナ・リーグ2位の7.1)。

 トラウトは初の本塁打王を逃すだろうが、3年ぶり3度目のMVPを手にしそうだ。ホルヘ・ソレーア(カンザスシティ・ロイヤルズ)は9月16日にホームランを打ち、シーズン45本として、リーグ1位のトラウトに並んだ。けれども、ソレーアのOPSはトラウトより170ポイント以上も低く、リーグ・トップ10にも入っていない。WARはどちらも3.0未満。トラウトの半分にも届かない。また、アレックス・ブレグマン(ヒューストン・アストロズ)の成績は全般的に素晴らしいものの、「トラウトがいなければMVP」といったところだ。

 一方、イェリッチが昨シーズンに続いてMVPに選ばれるかどうかは、予想が難しい。OPS1.000以上の3人、イェリッチ、コディ・ベリンジャー(ロサンゼルス・ドジャース)、アンソニー・レンドーン(ワシントン・ナショナルズ)が先頭グループを形成し、その後ろには(OPSの順ではないが)、ケテル・マーテイ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)、ロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)、フレディ・フリーマン(ブレーブス)らがいる。他にも、ともに50本塁打まであと3本に迫るピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)とエウヘニオ・スアレス(シンシナティ・レッズ)をはじめ、ライバルは少なくない。

 イェリッチ、ベリンジャー、レンドーンがそれぞれ在籍するチームのうち、ドジャースはすでに地区優勝を果たしているが、ブルワーズとナショナルズは、シカゴ・カブスとともにワイルドカードを争っている。チームの低迷とは関係なくMVPに選ばれそうなトラウトと違い、イェリッチとレンドーンの場合、チームがポストシーズンにたどり着けるかどうかによって、得票は違ってくるかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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