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実力ワンツーの大阪桐蔭、報徳は大丈夫? 和歌山ではいきなり強豪対決! 近畿の夏は波乱含みだ!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
昨夏は大阪大会決勝で敗れた大阪桐蔭。今年は果たして?(筆者撮影)

 22日に南北の北海道と沖縄で、地方大会がスタートした。これから1か月余り、夏の甲子園を懸けた熱い戦いが繰り広げられる。近畿は5大会で抽選が終わり、来月6日に大阪、兵庫、京都、滋賀の各大会が始まる。

大阪、兵庫、和歌山は再抽選がある

 大阪と兵庫は参加校数が多く、シード校を分散させて3、4回戦までの対戦を決め、その後に再抽選が行われる。本当の戦いは、それ以降ということになるだろう。京都、滋賀、奈良は再抽選がなく、ある程度、先を見据えたゲームプランを立てやすい。和歌山は4強が出揃った段階で、準決勝は抽選で対戦相手を決める。まずは、先に抽選が終わった大阪、兵庫、和歌山の各大会から展望したい。

大阪桐蔭は守りに不安が残る

 センバツ8強の大阪桐蔭の優位は動かない。投手力の厚みが他校とは段違いで、エース・平嶋桂知南陽人(ともに3年)、森陽樹中野大虎(ともに2年)の右腕本格派が揃う。境亮陽(3年)が好機を演出し、中軸のラマル・ギービン・ラタナヤケ(3年)や徳丸快晴(3年)らで得点する。大事な場面で守備の乱れから流れを失うのが今チームの課題で、僅差の試合をモノにできるか。ライバルの一番手はやはり履正社だろう。エース・高木大希(3年)は力強い球を投げる。多田晃監督(46)は昨夏、力勝負を挑んで大阪桐蔭に勝った。今チームはやや失点が多く、守りも含め、高木をしっかり援護したい。ノーシードだが2回戦からの登場で、試合数での不利は回避できた。

大院大高は春に続く旋風なるか

 春にこの2強を倒して旋風を巻き起こした大阪学院大高は、競り合いに強い。好遊撃手の今坂幸暉(3年=主将)が躍進の原動力で、エース左腕の前川琉人(3年)を攻守両面で支える。秋3位、春2位の興国にもチャンスがある。

興国のエース・熊谷は、横手から多彩な変化球をコーナーに投げ分ける。夏の甲子園は昭和50(1975)年以来、出場がないが、近年は常に上位に進んでいて、秋3位、春2位とステップアップしている(筆者撮影)
興国のエース・熊谷は、横手から多彩な変化球をコーナーに投げ分ける。夏の甲子園は昭和50(1975)年以来、出場がないが、近年は常に上位に進んでいて、秋3位、春2位とステップアップしている(筆者撮影)

 横手投げの熊谷直也(3年)は、走者を背負ってからの粘り強い投球が持ち味。打線の援護が、49年ぶりの甲子園出場には欠かせない。シード校では秋、春とも実績のある東海大大阪仰星大体大浪商阪南大高大商大高や、上位常連の関大北陽金光大阪などが活躍するだろう。

報徳のライバル神戸国際大付はエースに不安

 センバツで2年連続準優勝の報徳学園が一番手。今朝丸裕喜間木歩(ともに3年)のダブルエースは実力、実績とも申し分なく、試合運びの安定感で他を引き離している。前チームに比べると攻撃陣に爆発力がなく、投手の負担をいかに軽減できるかがポイントになるだろう。対抗するライバル陣は多士済々。近年、兵庫の優勝争いで中心となってきた神戸国際大付は選手層が厚い。昨夏、報徳は国際に屈した。ただ当時からマウンドを守ってきた大黒柱の津嘉山憲志郎(3年=主将)がヒジの故障もあって、どこまで回復しているか。秋、春とも県2位の須磨翔風は、攻守に手堅い野球をする。エース・槙野遥斗(3年)は制球に優れ、走者を背負ってから粘れる。秋は守りが崩れてセンバツを逃したが、控え投手の成長もあり、連戦でも不安はない。好投手・舩見将太(3年=主将)のいる神戸と同じブロックに入った。

東洋大姫路と彩星工科は名将が率いる

 履正社で全国制覇の経験がある岡田龍生監督(63)が就任して3季目となる東洋大姫路は、下級生中心のメンバー構成とあって伸びしろが多く、怖い存在。春は報徳を破るなど、実績も重ねてきた。投手陣も多彩で、1年生の新戦力が躍動すれば勢いに乗りそう。横浜(神奈川)を、監督として4回、甲子園へ導いた平田徹監督(41)が率いる彩星工科も、オール下級生のスタメンで、秋には翔風と互角の試合を演じた。春の県大会優勝のは、エース・福田海晴(3年)が投打の柱として3年連続の出場を狙う。神戸弘陵のエース・村上泰斗(3年)は、最速152キロを誇る。強豪校にとっては脅威となりそうだ。試合巧者の明石商東播磨の公立勢に加え、伝統校の育英にも復活の兆しがある。

智弁和歌山は投手陣が充実

 少数精鋭が競う和歌山は、テレビとラジオで全試合が中継される。ここまで高校野球熱の高い県は、全国を見渡しても和歌山だけだ。箕島が力を落としてからやや低迷した時期もあったが、智弁和歌山が強打で甲子園を席巻し、近年は市和歌山の復活もあって、今季もこの両校を軸に熱戦が期待できる。一番手はやはり智弁和歌山で、近畿大会では準優勝に終わったが、投手力で群を抜く。横浜出身の渡辺颯人(2年)は安定感抜群で、197センチの中西琉輝矢(3年)は春の県大会で復調した。ほかにも140キロ超の速球派が3人いて、中谷仁監督(45)の投手起用にも注目したい。打線は、木のバットで快打を連発した花田悠月(3年)を軸に下級生も力を伸ばしている。

昨夏代表の市和歌山はセンバツ出場の田辺と

 対する昨夏代表の市和歌山は初戦で、難敵と当たることになった。センバツ21世紀枠で甲子園を経験した田辺には、秋にコールド負けを喫し、春は雪辱したが延長タイブレークだった。今チームで1勝1敗の因縁の相手との決着戦に勝って、勢いに乗りたい。田辺は秋に智弁和歌山も破っていて、いきなり優勝争いを左右する試合になるだろう。センバツ出場の耐久は、春は智弁和歌山に敗れたが、エース・冷水孝輔(3年)に安定感がある。和歌山東は春の県大会準優勝で、秋も4強。これら4校のいずれかが、準決勝以降で智弁和歌山に挑む構図となりそうだ。次回は、京都、滋賀、奈良の展望を。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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