インド異常高温と干ばつで、「昼間の料理禁止令」
インドでは、4月に入ってから異常高温となり、深刻な水不足に見舞われています。これまでのところ、300人が死亡、3億人以上が干ばつの影響を受けていると言われています。
季節外れの高温
インド東部のオリッサ州では4月下旬、気温が48度まで上昇しました。その他の場所でも、例年を4〜5℃も上回る気温が続きました。
問題は、4月の時点ですでに、最暑月の頃の気温を超える暑さとなったことです。本来インドで最も暑い時期は、雨季(モンスーン)直前の5月です。
熱波の原因
原因の一つと見られるのが、2014年から続く、史上最大規模のエルニーニョです。この現象が起きると、太平洋東部の海面温度が上がって、雲が活発に作られ大雨になるのに対し、逆に東南アジアや南アジアなどでは、雨が少なくなり、干ばつや高温に見舞われやすくなるのです。
インドは去年6月、記録的な熱波に襲われ、熱中症などで2,500人が命を落としました。
「昼間の料理禁止令」
熱波と少雨の影響で火事が広がりやすい状況となっています。
4月下旬、スラム街で出火し、約80名が死亡する惨事が起きました。これを重く見た政府は、前代未聞の対策に乗り出しました。
それが、「昼間の料理禁止令」です。インド東部のビハール州では、朝9時から夕方6時までの間、火を使う料理をしてはならないというのです。違反した者は、最大一年間、刑務所に収容されます。料理は夜間しか許されないのです。
氷河融解の危機
ところで、インド北部では山火事が多数発生しており、火の手は世界遺産の「カルカ=シムラ鉄道」にも迫っています。また、ホテルなども相次いでキャンセルが出ており、観光業も痛手となっています。
さらに、山火事によるススによって、氷河が融解する危機にあるようです。黒いススが氷の表面に付着することで、氷が熱を吸収し、溶けやすくなるためです。
川底から遺跡発見
一方で、明るいニュースもあります。
去年、南西部のカルナータカ州の干上がった川から、思いがけないお宝が発見されました。なんと、数千年前の遺跡である「シヴァ神」のシンボルの彫刻が施された岩が1000も見つかったというのです。今ではシヴァ神を信仰する人々の巡礼の地になっているといいます。
今後の見通し
先月から継続的に高温警報・注意報が出されていましたが、今日(4日)からは解除され、暑さは一時的に和らぐようです。ただ、これから最暑期に突入するため、6月の雨季までは暑さはさらに厳しくなります。