釣りの未来を変える!東京海洋大学が開発中の次世代のルアーとは
昔から日本だけでなく世界中の方に愛されているレジャーである釣り。
魚や環境等の資源は有限であり、必要以上に釣りすぎれば魚の数は減り、環境が汚染されれば魚の住処がなくなってしまう等、釣り人のかかわり方によっては今後、釣りが楽しめなくなってしまう可能性があります。
釣り人にとって、今後も継続して釣りを楽しむためには資源の保全が不可欠なのです。
そんな資源の保全に向けて東京海洋大学である研究が行われているため、東京海洋大学生体機能利用学研究室の野村さんにお話を伺いました。
環境に優しい次世代のソフトルアー
東京海洋大学の生体機能利用学研究室で研究されているのは、魚や環境に優しいソフトルアーの開発です。
ソフトルアーとはポリ塩化ビニル等のプラスチックの一種を原料にした弾力のあるルアーなのですが、魚がソフトルアーを飲み込んでしまった際に消化されずに生体内に取り残されて魚が死亡する原因となったり、水中に環境ホルモンが流出することで生物に悪影響を与えるという負の側面もあります。
東京海洋大学の生体機能利用学研究室で研究されている”ゲルルアー(仮称)”は生物や環境、釣り人など釣りに関わる全てに優しいルアーを作りたいという思いから開発がスタートしました。
食品素材のみで作られたルアー
”ゲルルアー”の特徴は、食品素材のみで作られているという点です。
東京海洋大学の生体機能利用学研究室のゲル製作関連技術をヒントに独自の配合で開発されたソフトルアーは食品素材でできているため、魚が飲み込んでしまっても消化できると考えられています。
実際に研究室の魚に摂食させてみても、生存できることが判明しています。
また食品素材のみで作られているだけで、ルアーとしての実用性が低ければ釣り人に使ってもらえないということから”ゲルルアー”は柔軟性や耐圧性、引張耐性などの実験を繰り返し、魚が釣れる動きや針持ちの良さなども追求しています。
他にもソフトルアーの材料を鋳型に流し込んだ際に出る廃材についてもそれらを集めて原料として再利用することができるため、製造においても環境に優しいという特徴もあります。
実際に使用して釣果も上がっているようで、”ゲルルアー”の完成に期待が高まります。
ゲルルアーの研究を始めたきっかけ
幼少期から魚や水に住む生物が好きで、東京海洋大学に入学した野村さん。
「水中に流出した釣具が環境に悪影響を与える」ということは日頃から耳にしていたようで海が好きな人間として自分に何ができるか、ずっと考えていたようです。
そんな中、環境に優しい金属釣具を開発・販売しているNSC工業の費社長が研究室に訪問した際に、野村さんが学部生時代に研究していた素材「環境に優しいゲルシート」に着目し、当研究がスタートしたとのことでした。
まだ課題が多く完成には時間がかかるものの、将来的にはすべてのソフトルアーの素材に取って代わることができれば嬉しいと語る野村さん。
2024年1月に実施された釣りフェスティバル 2024に出展した際も、たくさんの方に温かい言葉をかけて頂いたことが励みになったようです。
今後は製品化を視野に入れ、まずはたくさんの方に知ってもらうことから始めたい語っています。
今後の開発に向けて
"ゲルルアー"はまだ開発初期の製品ということで開発に協力する釣具メーカーを始めとした企業、ワームのテストに協力する方を探しているとのことでした。
協力して頂ける方については下のメールアドレスに連絡を頂きたいとのことです。
東京海洋大学 生体機能利用学研究室
メールアドレス:info@nsc-i.co.jp
今回は東京海洋大学の生体機能利用学研究室で研究されている環境に優しい次世代のソフトルアー”ゲルルアー”について紹介しました。
今後も継続して釣りを楽しむためには釣り人一人一人が資源の保全について意識することが不可欠なので、今後も「釣りの知恵袋」なるフィッシュでは釣りに関する環境保全の取り組みについて積極的に取り上げていきたいと思います。