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アザール、ヴィニシウス、アセンシオ。レアル・マドリーの「BBC」の次の担い手は誰になるのか?

森田泰史スポーツライター
ゴールを喜ぶマドリーの選手たち(写真:ロイター/アフロ)

レアル・マドリーで、「BBC」は絶対の掟だった。

「BBC」とはカリム・ベンゼマ、ガレス・ベイル、クリスティアーノ・ロナウドの3トップである。2013年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が移籍金1億ユーロ(約120億円)でベイル獲得を決めて以降、マドリーの指揮官にとって彼らの起用は暗黙の了解となった。

直近の試合のマドリーの布陣/筆者作成
直近の試合のマドリーの布陣/筆者作成

■残ったのはベンゼマのみ

だが2018年夏にC・ロナウドがユヴェントスに移籍する。そして昨夏、ベイルがトッテナムにレンタル移籍して、「BBC」で残るのはベンゼマのみとなっている。

ポストBBC時代を見据えて、マドリーが白羽の矢を立てたのがエデン・アザールだ。移籍金1億ユーロ(ベルギーメディアによると1億6000万ユーロ)でチェルシーからベルギー代表のアタッカーを獲得して、攻撃の陣容を刷新しようとした。

アザール出場時のマドリーの攻撃/筆者作成
アザール出場時のマドリーの攻撃/筆者作成

また、ペレス会長は「若手推進プロジェクト」を同時進行させていた。ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエスを青田買いする格好で確保。ジネディーヌ・ジダン監督に複数の選択肢が与えられた。

ポジション争いに身を投じるヴィニシウス
ポジション争いに身を投じるヴィニシウス写真:ムツ・カワモリ/アフロ

ただ、アザールは度重なる負傷に苦しめられ、ヴィニシウスはフィニッシュの精度が心許ない。彼らはジダン監督の信頼を完全に勝ち得るには至っていない状況だ。

その中で存在感を示しているのがマルコ・アセンシオである。アセンシオは2019年7月24日にプレシーズンマッチのアーセナル戦で負傷。新型コロナウィルスの影響で日程がずれていなければ、2019-20シーズンを棒に振っていた。

先のセルタ戦で今季初得点を記録したアセンシオだが、20試合ノーゴールが続いていた。それだけ苦しんでいた。しかし、ここにきて、本来の調子を取り戻している。突破力とパンチの効いたミドルシュート、そして左サイドに置かれた際に深い位置からクロスを上げられるという特徴が見られ始めた。

ベンゼマとL・バスケス
ベンゼマとL・バスケス写真:ロイター/アフロ

■貴重な戦力

一方でジダン監督が重宝しているのがルーカス・バスケスである。ジダン監督に「彼を好む監督は私だけではないだろう。常に準備ができており、チームのために全力を尽くしてくれる。マドリーが何たるかを理解している」と言わしめる選手だ。

今季、L・バスケスは16試合で先発している。L・バスケスが得点を挙げた試合で、マドリーは20勝4分けと負け知らずである。

Tiene flor(ティエネ・フロール)と度々形容されるジダン監督。「幸運な男」という意味で、そこには揶揄のニュアンスが含蓄される。だが不敗神話を築くL・バスケスのような選手を使いながら再び勝つための道筋をつける指揮官の手腕こそ、レアル・マドリーで求められるものだろう。

アザール、ヴィニシウス、ロドリゴ、アセンシオ、L・バスケス...。ロドリゴに関しては負傷で長期離脱が見込まれるが、「BBC」の先の時代は続く。ジダン監督のマネジメントと、積み重ねた結果の末に答えは待っているはずだ。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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