大荒れの中東、砂漠に現れた巨大竜巻と52年ぶりの雹の嵐
もはや天変地異と言っても過言ではないような、そんな驚くような現象が中東で立て続けに起こりました。サウジアラビアでは巨大な竜巻が、レバノンでは52年来の雹の嵐が発生したのです。
砂漠の巨大竜巻
5日(土)サウジアラビアの砂漠に、すさまじく巨大な竜巻が姿を現しました。
下がその竜巻です。巨大な渦巻きが砂漠の砂を巻き上げて、高速で回転している様が映されています。砂漠に竜巻が発生しただけでも珍しいことですが、あまりの太さと回転力に圧倒されます。
この竜巻が発生したのは、サウジアラビア北西部のサカカという、古代にキャラバンルートのオアシスとして栄えた町でした。
地元紙によると、この竜巻の直径は1.5キロメートルほど、移動距離は100メートルだったと推測され、これまで同国で撮影された竜巻の中では最大だろうということです。
砂漠のど真ん中で起きた竜巻であったことから、けが人や被害などは伝えられていません。しかし、すごいタイミングで竜巻に出くわした撮影者がいたものだと驚きます。
レバノンの雹嵐
一方レバノンは5日(土)、雪化粧に包まれました。
下の動画は、首都ベイルートの様子です。
大雪が降ったかのようにも見えますが、これは雹、氷の塊です。雹と共に降った大雨の影響で、氷が低地に流されて、このような事態となりました。
レバノンの雹はどれほど珍しいのでしょうか。
レバノンの気象学者エリアス=サーデ氏によると、ベイルートで前回雹の嵐が発生したのは、1968年のことだといいます。つまり今回の雹は、半世紀ぶりだったということです。
ベイルートと言えば、今年8月に爆発事故が起こり、200名以上が死亡、6,500人以上が負傷するという大惨事が起こりました。30万人以上が家を失ったとも伝えられていますが、そうした中での気象災害です。被害者の方々に心からのお見舞いを申し上げます。
中東の気候操作
ところで、こうした嵐がたまに襲うことあっても、世界一雨の少ない中東では水が大変貴重な存在であることは言うまでもありません。
その問題を解決するために、これまでアラブ首長国連邦などで、人工降雨の操作が行われてきました。同国では2019年に274回も操作が行われ、年降水量は101ミリも増えたといいます。
隣国のサウジアラビアでも人工降雨の実施が議会で承認されたもようです。人口の急増や農業のニーズが高まる中、これまでのように地下水だけに頼るには限界が来てしまっているのです。人工降雨により最大で7割もの降水量の増加が見込めるとのことです。