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都市対抗の組み合わせ決定! 優勝候補は?

楊順行スポーツライター
抽選会の後で行われたトークショーの模様(撮影・筆者)

 全国329チームの予選を勝ち抜いたのは32チーム。初出場は、大谷翔平の兄・龍太がいて話題のトヨタ自動車東日本だけ。企業登録94チームのうち3分の1が出場するのだから、たとえば4000校近い参加校のうちから50未満しか出場できない夏の高校野球よりはずいぶん楽かと思われるだろうが、予選は実に過酷だ。たとえば2015年に優勝した日本生命や、16年に日本選手権を制したヤマハなどが各予選で敗退し、出場できていない。

 おもしろかったのは、抽選会のあとに行われたトークショー。トヨタ自動車東北・三鬼賢常、鷺宮製作所・目良宏、東芝・平馬淳、大阪ガス・橋口博一各監督が、予選の厳しさについて語ってくれた。ちなみに東芝以外の3チームは、創部7年目で初出場のトヨタ自動車東北はじめ、昨年の大会に出場できていない。トヨタ・三鬼監督は、

「選手13人から始めたチーム。選手たちはどうかわかりませんが、私は(都市対抗に)出られるとは思っていませんでした」

 と笑いを誘い、

「まさか東北第一代表とは……予選で勝つたびに、毎晩うれしくてしょうがありませんでした。選手たちには"気を引き締めろ"といいながら、一番引き締めなければいけないのは私かな」

 と喜びを隠せない。9年ぶり出場の鷺宮製作所・目良監督は、

「ドラマ"ルーズヴェルト・ゲーム"が話題になったとき、私は社業に就いていて、"ドラマのモデルでは?"と社外から問い合わせがあったら、"あくまでフィクションです"と答えるように社内で共有していました(笑)。なにしろ、長く都市対抗から遠ざかっていましたから。とくにおととしは、東京の第一代表決定戦で負けてから、第二、第三決定戦も負け。第一ではJR東日本の田嶋大樹(現オリックス)君に、第三では東京ガスの山岡泰輔(現オリックス)君にやられたんです。でも、負けましたが案外打てた。部の恩人であり、名誉会長だった西見一郎元社長が昨年3月に亡くなったので、欲をいえば昨年出たかった」

甲子園もだが、東京ドームも熱いのだ!

 大阪ガス・橋口、東芝・平馬両氏は、今季就任の新監督。橋口監督は、

「昨年は、予選の初戦でクラブチームに負けて苦しくなった。知らない人は、クラブチームは弱いと決めてかかるんですが、とくに近畿のクラブはレベルが高いんですよ。今年も初戦の相手はクラブチーム(関メディベースボール学院)で、初回に1点を先制されていやな予感がしました。とにかく、予選では何が起きるかわかりませんから」

 シドニー五輪に出場し、また東芝では都市対抗優勝も経験している平馬監督は、

「出場が決まり、うれしいというよりホッとしました。選手のときも予選は厳しいと思っていましたが、監督としての厳しさを初めてわかりました。眠れない夜もあり、睡眠薬が必要でしたね(笑)」

 それはおそらく、アルコール分含有なのだが。

 なにしろ、出るか出ないかで、1年間積み重ねてきた練習の日々が報われることもあれば、ゼロにもなるという都市対抗。決定した組み合わせでは東芝とトヨタ自動車東日本、そして西濃運輸とJR東日本が初戦でぶつかるBゾーンがもっともホットだが、昨年覇者のNTT東日本や準優勝の日本通運、さらに昨年の日本選手権を制したトヨタ自動車など、優勝候補がずらり。7月13日からの本番が、いまから楽しみなのである。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は64回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて55季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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