キラウエア火山の脅威「レイズ」と「ヴォッグ」の正体
スモークにフォッグで「スモッグ」、スノーにトルネードで「スノーネード(雪竜巻)」…というように、気象用語には複数の言葉が合体してできたものがあります。
噴火を続けるキラウエア火山に関し警戒されている「レイズ」と「ヴォッグ」もまた、同じように2つの言葉が合成されてできています。
一体どんな意味でしょうか。
「レイズ」とは
住宅地を飲み込み、真っ赤な蛇のようにハワイ島を流れる溶岩流は、20日(日)太平洋岸に到達しました。溶岩流が海水に流れ込み、海岸には白い煙が立ち上っています。この白い煙が「レイズ」です。
レイズとは、1000℃以上ある溶岩流(ラバ)が海水に触れて化学反応を起こすことで発生する塩酸ガスや火山性のガラスの微粒子を含んだ有害な煙(ヘイズ)を指します。つまりラバ(溶岩流・lava)とヘイズ(煙・haze)でレイズ(laze)です。
見た目は真っ白で美しくも見えるのですが、レイズが発生すると、目や肌の炎症や肺の損傷、最悪の場合は死に至ることもあるそうです。2000年にキラウエア火山が噴火した際にもレイズが発生し、溶岩が流れ込んだ場所から100メートルのところにいた男女2人が、肺の損傷で死亡しています。
(↑溶岩が海に流れ込む様子)
「ヴォッグ」とは
一方「ヴォッグ(vog)」とは火山(volcano)とスモッグ(smog)の合成語で、噴火の際に発生する二酸化硫黄などが、酸素や太陽光などによって化学反応を起こすことで発生する有害な大気汚染物質を指します。ヴォッグは目や喉の痛み、頭痛、息切れ、喘息や気管支炎などを発症させることがあります。
「レイズ」「ヴォッグ」の行先
通常ハワイでは「貿易風」と呼ばれる北東の風が吹いています。ハワイでは、よく一方に傾いた木を見かけますが、これは風がいつも同じ方向から吹いているためです。
キラウエア火山がハワイ島の南東部に位置していることから、一部の噴煙を除き、ほとんどが海上に流されていきます。
今週いっぱいは貿易風が吹き続ける予想となっていますが、いったん風向きが変わったり、風が弱まったりすると流れが変わり、オアフ島やマウイ島などといった他の島々にも広がることがあります。