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通算417セーブのキンブレルは、ここ3年に4度目の移籍。1年契約でオリオールズ入団

宇根夏樹ベースボール・ライター
クレイグ・キンブレル Sep 28, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月7日、ボルティモア・オリオールズは、2025年の球団オプションがついた1年契約を、クレイグ・キンブレルと交わしたことを発表した。

 ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンによると、来シーズンの年俸は1200万ドル。球団オプションは、行使する場合の年俸が1300万ドル、破棄する場合の解約金は100万ドルだ。解約金は、35登板、40登板、45登板、50登板、55登板、35完了、40完了、45完了、50完了、55完了に達するごとに、10万ドルずつ増えていくという。最高200万ドルになるということだ。

 キンブレルは、来シーズンがメジャーリーグ15年目となる。シーズン年齢(6月30日時点)は36歳だ。5月下旬に誕生日を迎える。オリオールズは8チーム目。2021年以降、4度目の移籍だ。

 2021年の夏に、トレードでシカゴ・カブスからシカゴ・ホワイトソックスへ移り、翌年の開幕前に、こちらもトレードでホワイトソックスからロサンゼルス・ドジャースへ移籍した。昨オフと今オフはFAとなり、昨オフは、1年1000万ドルの契約でフィラデルフィア・フィリーズに入団した。

 かつてほどではないが、ここ3シーズンとも60試合以上に登板し、25セーブには届かないものの、20セーブ以上を挙げている。2021年と2023年は、セーブとホールドを合わせると、どちらもちょうど30だ。奪三振率は15.08→10.80→12.26、与四球率は3.47→4.20→3.65、防御率は2.26→3.75→3.26と推移している。

 スタットキャストによると、4シームの平均球速は96.5マイル→95.8マイル→95.8マイル。2015~17年の平均球速は、3シーズンとも98マイル以上だった。

 今シーズン、オリオールズでは、フェリックス・バティスタがクローザーを務めていたが、8月下旬に肘を痛め、復帰することなく、10月初旬にトミー・ジョン手術を受けた。バティスタは、離脱するまでに、56登板で61.0イニングを投げ、奪三振率16.23と与四球率3.84、防御率1.48を記録し、33セーブを挙げていた。

 バティスタがFAになるのは2027年のオフなので、オリオールズは、短期契約でクローザーを手に入れようとしたのだろう。来シーズンは、キンブレルがクローザーを務め、その前のセットアッパーとして、イェンニアー・カノーダニー・クーロムが投げることになりそうだ。けれども、この役割は確定ではないかもしれない。今シーズン、カノーは、72登板の72.2イニングで奪三振率8.05と与四球率1.61、防御率2.11。クーロムは、61登板の51.1イニングで奪三振率10.17と与四球率2.10、防御率2.81を記録した。カノーの奪三振率は高くないが、ゴロ率が高い。

 キンブレルは、通算450セーブまであと33セーブに近づいている。このマイルストーンに達した投手は、652セーブのマリアーノ・リベラ、601セーブのトレバー・ホフマン、478セーブのリー・スミスしかいない。彼らは、3人とも殿堂入りしている。

 なお、通算セーブの現役最多は、417セーブのキンブレルではなく、420セーブのケンリー・ジャンセン(ボストン・レッドソックス)だ。こちらは、来シーズンが2年3200万ドルの2年目。今シーズンは、51登板の44.2イニングで奪三振率10.48と与四球率3.43、防御率3.63を記録し、29セーブを挙げた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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