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南岸低気圧が接近 あす首都圏で雪の可能性は?

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
左:15日昼、右:15日夜の天気分布。内陸でも標高の高い所以外は、雨の可能性も。

あす15日にかけて、本州の南岸を低気圧が進み、全国的に天気が崩れます。「南岸低気圧」と言われる気圧配置で、首都圏で雪の可能性もあるパターンです。

今回は平野部は雨メイン

15日の予想天気図。本州南岸を低気圧が通過する。
15日の予想天気図。本州南岸を低気圧が通過する。

昨年2月は、この南岸低気圧によって、首都圏は2週連続の大雪に見舞われました。

日本一広い関東平野は、冷気が一度たまると、簡単にはなくなりません。低温状態のところに、低気圧が近づいて大量の降水をもたらし、大雪となるのです。

ただ、今回は上空の気温がこの時期にしては高く、雪が落下中に融けて、首都圏では雨として落ちてくる所が多くなります。

一方、気温が低くなりやすい山沿いや東北の内陸などは、まとまった雪になる所も出てきます。

これからが太平洋側の大雪シーズン

雨か雪かの予報は本当に繊細で、気温が0.5℃違えば、雨が大雪に変わるということもあります。

それだけに慎重さが必要で、予測より気温が下がって雪に変わる可能性、また影響の大きさを、常に考えながらの予報となります。

ただ、今回は、たとえば東京都心周辺だと、そこまで微妙ではありません。上空の気温から見て、明らかに雨寄りです。これで「雪」と言っている情報は、ただ煽りたいだけか、予報技術がないだけです。

1月後半~2月にかけてが、南岸低気圧の本番シーズンです。雪か雨か、もしくは大雪か、悩む回数が多くなるのはこれからです。

大雪警報が出たら、あなたはどうしますか?

ところで、昨冬の大雪で、気になったことがあります。

2月14日から15日にかけて、記録的な大雪となった関東甲信地方。甲府市では、この地の観測史上だんとつで最大の積雪114cmを観測しました。

特に14日の夕方以降は、山梨県など内陸の各地で、大雪により孤立や道路での大渋滞が起こるなど大混乱。「なぜ大雪の“特別警報”が出なかったのか」という議論も起こりました。

ただ、特別警報が出ていれば、防げたのでしょうか?

この日、甲府市に大雪“警報”が出たのは、降り始めて数時間の午前10時。まだ積雪が10cmにも届いていない段階でした。

本格的な大雪となったのが夕方以降ですから、大雪警報を参考に行動を考えていれば、雪で動けない事態に巻き込まれるなどは、かなり防げたはずです。今ある情報を活用しきれていないのに、新たな情報があれば防げるとは思えません。

あと出しで情報を批判するのではなく、まずは事前に情報を活用するところからではないでしょうか。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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