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羽生善治九段、丸山忠久九段ともに強気の応酬で激しい中盤戦に突入 竜王戦挑決第1局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 8月17日。東京・将棋会館において第33期竜王戦挑戦者決定戦三番勝負第1局▲羽生善治九段(49歳)-△丸山忠久九段(49歳)戦が始まりました。

 丸山九段は後手一手損角換わり。羽生九段が早繰り銀から速攻に出たのに対して、丸山九段は飛車を4筋に回って迎え撃ちます。

 28手目。丸山九段が銀取りに歩を突き出した局面で羽生九段が考え、12時、昼食休憩に入りました。

 12時40分、対局再開。羽生九段は休憩をはさんで33分を使い、銀を逃げながら五段目に出ます。この時点で持ち時間5時間のうち、消費時間は羽生九段1時間43分、丸山九段が0分と差がつきました。

 丸山九段はここで初めて時間を使ったものの、それもわずか1分。盤上中央に攻防の角を打ちました。ここからは両者強気の応酬で、ギリギリの攻防となります。

 羽生九段は5筋の角を6筋に引かせてからの37手目。30分を使って6筋の歩を突き出しました。消費時間の通計は羽生九段2時間28分、丸山九段1分。ここで丸山九段が腰を落として長考に沈みました。

 将棋界では重要な対局が続いている8月。14日・15日には、名人戦七番勝負第6局がおこなわれ、渡辺明挑戦者が4勝2敗で名人位を獲得しました。

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 豊島竜王は、名人位は明け渡すことになりました。

 10月から始まる竜王戦七番勝負も強敵を迎え撃つことになります。

 豊島竜王から見ての対戦成績は、対羽生九段は16勝17敗。対丸山九段は9勝4敗となっています。

 15時過ぎ。38手目、丸山九段は玉を盤上左辺(後手側から見て右辺)に上がります。この一手の消費時間は1時間31分でした。

 羽生九段は2枚目の銀も押し上げていき、丸山九段の角にプレッシャーをかけます。対して丸山九段は4筋の飛車の先、羽生陣三段目に大きなと金を作ります。両者強気の応酬で、一気に激しい変化に突入しました。

 羽生九段は角銀交換の駒得をはたし、駒台に角2枚が乗ります。ここで羽生九段は31分を使って、丸山九段の飛車先に歩を打ち捨て、先手で利きを止めました。

 丸山九段が離席して盤の前に一人残された羽生九段。

「んんんん?」

 と声をあげます。なにか気がついたことがあるのでしょうか。

 両者ともにずっと半袖シャツ姿での対局が続いていましたが、現在は羽生九段は上着を着ています。

 16時53分頃、両対局者はスタッフから夕食の注文を尋ねられました。夕食休憩は18時から18時40分までです。

 17時7分。53手目、羽生九段は丸山陣に角を打ち込みました。これが銀香両取り。難しいながらもバランスが取れ、形勢はほぼ互角のようです。ただし残り時間は羽生九段1時間8分、丸山九段2時間58分と差がついています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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