43歳。私を今でも赤ちゃん扱いする母とは二度と会わないつもりです~40歳からの婚活入門(34)~
40代、独身。孤独を感じることもあるが、周囲を見渡してみると自分と同世代の独身者もいるし、子育てを終えて次の生活を模索し始めた人もいる。肩を寄せ合えるパートナーを探すことが広義の婚活だとしたら、何歳からだって遅くはない。本シリーズでは、現代に生きる独身の40代の実生活と心情を聞き取り、筆者の考えを添える。同じ40代として、残りの人生を充実したものにするために。
***橋本里奈さん(仮名、43歳)の話***
結婚とは何かをお互いに確認する前に一緒になったのが間違いだった
25歳のときにお付き合いした人生2人目の恋人と数か月後に結婚したけれど、結婚という枠組みが窮屈に感じてすぐに離婚したくなりました。前夫は猛反対し、ようやく離婚できたのは33歳のときです。
私には父親がいません。結婚して義父ができるのは嬉しかったし、前夫との同居生活にも問題はありませんでした。でも、私も彼も若かったので結婚とは何かをお互いに確認する前に一緒になったのが間違いだったと思います。
結婚した後、彼は『子どもが欲しい。自分が定年を迎えるまでに子どもを成人させたい』と主張。私が子どもを作ることは考えられないと伝えると、裏切られたと感じてしまったようです。夜の営みもなくなりました。
私が結婚したのは、実家から逃げるためだったのだと思います。店を経営していた母は、家事全般を担当する私を家に縛りつけようとしていました。結婚して実家を出られたとき、ようやく自我が生まれて、結婚という枠組みが嫌いな自分に気づいたのです。前夫には申し訳ないことをしたと思っています。彼のことを嫌いになったわけではありません。幸せでいてほしいです。
痛い言葉で傷つくことに比べたら、一人でいる寂しさは自分で処理できる
独身に戻った後は、特定の人との交際を避けるようになりました。一人に依存するのが嫌だなと思うからです。常に3、4人の男性とたまに食事して、泊まったりしていました。相手には16歳上の独身の人もいますし、同い年の既婚者もいます。(メディア関係の)仕事で知り合った人がほとんどです。
でも、どの人からも「優しい女性像」を求められることが次第に嫌になりました。私は仕事上ではお話を聞く立場なので、何でも受け入れてくれる女性だと思われるのでしょうか。「2人きりで改めて会うと優しくしてくれないね」なんて言われたこともありますし、私が辛い思い出を話したら、「自分が一番辛いと思ったらダメだよ」と返して来た人もいます。
そんな痛い言葉で傷つくことに比べたら、一人でいる寂しさは自分で処理できると気づきました。1年前からはどの男性からも距離を置くようにしています。
私という面倒臭い人間を作った元凶でもある母とは二度と会わないつもりです。着信も拒否しています。恨んでいるわけではありませんが、母と顔を合わせて昔の自分に戻ってしまうのが怖いのです。母は今でも私を赤ちゃん扱いし、「仕事なんてやめて家にいなさい」と言うでしょう。顔を合わせたら、その形の私でいなければいけないと思ってしまいます。
一人暮らしは快適です。いま、本当に自分が求めているものは何なのか、どういう相手だったら無理をせずに付き合えるのかを少しずつ考えているところです。自慢話を「すごーい」と言って聞いてくれる献身的な女性を求めない点では前夫が理想的だったかもしれません。彼は私という人間をあきらめていただけかもしれないけれど……。
***筆者より橋本さんへ***
仕事は上下関係が発生しやすい。共通点はあるけれど対等な関係で相手を見つける
2人きりで改めて会うと優しくしてくれないね、と言われたエピソードには思わず笑ってしまいました。筆者も橋本さんと同じメディア業界にいて、「人の話を聞く」ことを商売のタネにしているため、聞き上手なのだと思われることが少なくないからです。確かに他人の話に関心はありますが、それと同じぐらい自分の話も聞いてほしいと思っているので、仕事以外で一方的に自慢話をされ続けたらうんざりしてしまいます。同じ現象は接客業の人にも当てはまるのではないでしょうか。
お母様との関係については、「恨んではいないけれど二度と会わない」というスタンスは正しいと思います。血のつながった人であってもいろんな事情があり、顔を合わせると嫌な自分が出て来てしまうことはありますよね。無理に一緒にいると、人生を台無しにしてしまいかねません。距離を置き続けるのは賢明でしょう。
無理をせず、自分を偽らずに一緒にいられる人が見つかるといいですね。がんばらなければいけない仕事を離れて、趣味の場やクラス会などに顔を出してみたらどうですか。共通点はあるけれど対等な関係というのは心地良いものです。思わず聞き手に回ってしまう橋本さんを求める人ではなく、橋本さんの話にも耳を傾けてくれる人が必ずいます。