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いきなり荒れまくる『LINEオープンチャット』の課題と対策

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
LINE オープンチャット説明動画より

KNNポール神田です。

【追記(2019年8月21日)】

LINEではOpenChatのピックアップを表示しない措置をほどこした。この処置は正解だ。基本的にOPENとはいえない状況になるが、むやみな投稿を防ぐことができるようになった。この状況でペナルティを強化されることを期待したい。

OPENCHATのピックアップ画面は消えた 出典:LINE
OPENCHATのピックアップ画面は消えた 出典:LINE

2019年8月19日(月)よりLINEの新機能の「OpenChat(オープンチャット )」が一般公開となった。

□LINEに、グループトーク機能を拡張した新機能「OpenChat(オープンチャット )」が登場しました。

1.トークルームごとにプロフィールを変更できる。

2.トークルームごとに公開/非公開を設定できる。

3.途中から会話に参加した場合も、直前のやりとりをさかのぼってチェックできる。

4.ひとつのトークルームに最大5000人まで参加できる。

5.URLやQRコードで、トークルームに招待できる。

(※年齢認証をしていないユーザー、18歳未満のユーザーについては、一部機能が制限されます)

出典:新機能「OpenChat(オープンチャット)」が登場しました

LINEの既存の『グループ』機能でも、500人まで対応なので、まったく不便に思ったことはない。しかし、この『OpenChat』では5,000人まで参加できるので、いろんな事が起こりうる可能性がある。…というか、すでに制御不能の状態に陥ってしまっている。試験運用とは全く属性が違う、一般ユーザーに開放され、LINEの中のいたずら好きが大量に流れ込んでしまったからだ。しかもトークルームごとに名前も変えられる…。

openchatに参加するとあまりの投稿数の多さに驚愕する人が多い…。

■荒れまくるピックアップされた『OpenChat』

昨日のオープンから『OpenChat』の荒れ模様がネットでは、かなりリポートされている。おそらくLINEにとっては、想定内の範囲だと思うが、一番好ましくない傾向が、LINE公式の『OpenChat』で紹介されているピックアップされた『OpenChat』が荒れていることである。普通のユーザーが『OpenChat』に入ると、まず、このピックアップの『OpenChat』から興味を持つはずだからだ。

OPEN CHAT のピックアップが大荒れ 出典:LINE
OPEN CHAT のピックアップが大荒れ 出典:LINE

管理者も、圧倒的な大多数の連続ポストには対応がすべて間に合わない。

また、『OpenChat』に参加しないことには、『OpenChat』の中身がわからないことも『参加』の期待値との違いに愕然としてしまう。個別のトークルームに関しての荒れ具合はあえてリポートしないが、スマートフォンそのもののバッテリー消費に、通信量の消費、さらに発熱など、いくつかの『OpenChat』に参加したことによっての不利益が発生する。

さらに、『トーク』の『未読数』が『999+』表示となり、普通の『トーク』までが汚染される。

まずは注意点として、いくつかの提案をしてみたい。

■不特定多数が参加する『OpenChat』では、通知を必ず『オフ』にしよう!

最初に驚くのは投稿数の多さだ。投稿された度のサウンドにうんざりする。まずは通知をオフにする。これでしばし、投稿のうるささは消える。それでも瞬間的な連投などが多い『OpenChat』では、戻るボタンが表示されてないというストレスを感じることとなる。

投稿の無意味さにまいった時は、すぐに『グループ退会』を選択すればよい。

■プロフィールを自由に変えられる不自由

プロフィールの名前も写真も変えられる。これは今までのLINEのプロフィールとは違う、まったく別人になれるというメリットがある。

しかし、これによって、顔バレしないや匿名性が保たれたように見えるので、荒らしやすくなる心理効果が働いている。これはある程度、『LINE SCORE』などのポイントと連動して信用度を担保したほうが良いだろう。

■通報および ブロック機能の必要性

LINEの社内では、アイコン長押しによる『通報機能』などがあるが、おそらく後手に回っているのかもしれない。連投が続く『OpenChat』では『通報機能』がまったく機能していないようだ。

ある特定数の人たちからの通報が、瞬時に多ければ、30分間 LINEの利用機能停止などのイエローカードを与えるしくみが必要だろう。

■まずは、勇気を持って一度クローズすること!

現在のLINEの『OpenChat』では、何もユニークなことが継続ができない。また、かつての『匿名掲示板』と同等となり、犯罪の温床と化してしまう可能性がある。ある意味、LINE側の強い抑止力が働く『LINE SCORE』のポイントとの連携や、しばらくLINEが使えなくなるような『イエローカード』などのペナルティの機能を実装するまでは、勇気を持って、一旦クローズすることが望ましいと思う。

むしろ、勇気ある一時撤退は、次に開始する歳の良いアナウンス効果にもなることだろう。

このままでは、筆者も自分で『OpenChat』のグループを作成したが、維持することのリスクばかりが増えそうなので、告知するのをためらってしまった。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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