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格安航空Norwegianで今年も欠航便が相次ぎ、苦情殺到/夏休みが台無しにと怒るノルウェー人

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
「安いものには理由がある」という代表例がノルウェージャン(写真:ロイター/アフロ)

格安航空券で有名なノルウェー・エアシャトル。ノルウェー現地では「ノルウェージャン」(Norwegian)で知られる航空会社で飛行機のキャンセルが相次いでいる。

毎年、多くのノルウェー人が長期の夏休みで国内外を移動する際に使用するノルウェージャン。破格の価格で航空券が購入できるが、突然の欠航と評判が悪いカスタマーサービスでも知られている。突然のキャンセルで楽しみにしていた休暇が台無しになることは、毎年ニュースで話題となっている。

ここ数日、キャンセル騒動はほぼすべての地元の大手メディアで報道が続いている(例:国営放送局NRK)。オスロからベルリンへ旅行を計画していた48人の子どもたちのブラスバンド部、女子ハンドボールチーム(Dagbladet)、数々の家族なども被害に。

空港で放置された子どもたちへは、食料も与えられず、臨時のホテル料金は高すぎるからとノルウェージャンはサポートを断った。オスロからベルリンまでの飛行機の代わりに、バスでの移動が提示されたが、16時間もかかるため、「疲労した子どもたちには無理だ」と母親はアフテンポステン紙に語る。

ノルウェージャンは病欠となったパイロットなどの代わりを見つけられず、複数の便が突然キャンセルされた。アフテンポステン紙によるとたったの1日で18便が欠航、他にも今後の便のキャンセルが予想されている。

欠航便で足止めされた乗客は数百人とされているが、今年の欠航騒動は終わりを見せそうもない。これまでの失敗から航空会社は何も学んでいないと、批判が殺到している。

ノルウェージャンはパイロット連盟に「通常の給料の4倍を払う」とも提示したが、連盟側はこれを拒否したと産業紙DNは報道。

空港で何時間も放置されている乗客が憤慨している理由が、カスタマーサービスだ。突然便がキャンセルになったと携帯電話に簡単なメールのみが届き、空港では雑な対応をされる。乗客への対応が多少改善されていれば、ここまでのクレームがメディアで報道されることはなかっただろう。

ノルウェージャンの航空券は確かに魅力的なほど安い。Facebookなどでも頻繁に広告を目にする。しかし、「飛ばないかもしれない」、「嫌な対応をされるかもしれない」という不安要素は必ずセットになっている。Norwegianを利用する際は、その心構えをして、最初から何も期待しないほうが後でがっかりしないだろう。

Photo&Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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