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対局翌日は「2、3時間昼寝」しろたん巾着の中は「秘密」藤井聡太竜王、日本シリーズ決勝前日記者会見全文

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

――昼寝はしますか?(9歳、男の子)

藤井「普段昼寝することはほとんどないんですけど、対局の翌日に家に帰ってから昼寝をすることはあります。対局の翌日ですとけっこう疲れていることが多いので、家に帰ってからけっこう2、3時間、いったん睡眠を取って、ということはあります」

――いつも持参されている「しろたん巾着」には何が入ってますか?(50歳、女性)

藤井「あ、はい。えーっと・・・。そうですね。入っているものは、秘密、ということでお願いします(笑)。しろたんの袋自体はけっこう、いつ頃からかはわからないんですけど、最近、けっこう持ってきています」

――非常にお忙しいと思いますが、一週間お休みがあったら、何をしたいですか?(34歳、女性)

藤井「最近はけっこう対局が続いていて、その分、充実感というのもあるんですけど、一週間休みがあれば、今なら普通に一週間休むと思います(笑)。いったん、ゆっくりしようかなと、はい(笑)」

――(以下記者より質問)1つ目。今年、何度も当たった豊島九段とJT杯決勝で対戦する意気込み。2つ目。昨日、王将挑戦を決める対局があった。

藤井「まず1点目についてですけど、JT杯、今回初めて決勝戦を戦えることをうれしく思っています。豊島JT杯覇者と今年、数多く対局していますけど、早指しでは今年は初めての対戦になるので。また、これまでと違った新鮮な気持ちで臨めればというふうに思っています。2点目についてですけど、昨日、王将戦(リーグ)の対局があったんですけど、今日はゆっくり休むことができたので。また明日も、普段どおりいい状態で臨めそうかなと感じています」

――2010年東海大会、小2のとき、テーブルマークこども大会低学年の部決勝で敗れて壇上で涙を流した。

藤井「十年以上前のことなので、いまとなってはそれほどはっきり覚えていないんですけど。当時、ああいったステージの上で対局できるということ自体、初めてでしたし。そういった、自分にとってとても大きな楽しみな舞台で、ミスをしてしまったということで、本当に普段以上の悔しさがありましたし。そういうことがないように、一手一手、しっかり指さなければいけないなというのは感じました」

――それから棋士になって、プロ公式戦の決勝に臨む。

藤井「このJTプロ公式戦が、自分のそういった、こども大会に参加していたときに観戦して勉強していたので、その舞台に立てることだけでも本当に光栄ですし。また明日は決勝戦ということで、自分自身、とても楽しみにしています」

――2日制の長い持ち時間、JT杯のように短い持ち時間。思考に違いはあるか。

藤井「そうですね、長い持ち時間と、早指しの短い持ち時間の対局では、指し手を選択、決断するまでの時間というのがかなり異なるので。やっぱりある程度うまく読みであったり判断を省略して、決断よく指していく必要があるのかな、というのは感じています」

――タイトル戦でのおやつが注目された。かわいいものが好き? 自身がインフルエンサーになっているという点については。

藤井「対局時のおやつについては、完全に自分の好みで選んでいますので、興味をひかれたものはいただいています。けっこうそれが注目していただいたりというのは、自分としては全然、予想していなかったことがあるんですけど。それが、なんというか、面白いと思うところもありますし。そういう形で取り上げていただけるというのも、ありがたいことだと思っています」

――早指し棋戦の魅力は? いつもと違う緊張感はある?

藤井「やっぱり早指し棋戦だと普段の対局と比べて、指してるときの感覚もかなり異なるので、やっぱりそれに合わせて決断よく指す必要があると思いますし、自分にとってもなんか新鮮なところはやはりあります。見ていただく方にも早指しならではのスリリングな戦いっていうのは楽しんでいただければな、というふうに思っています」

――明日はテーブルマークこども大会も開催される。こどもたちもドキドキしていると思う。強くなるため、負けたときにはどう総括してきた?

藤井「自分のこどもの頃は、負けたあとにそんなに冷静に対局を振り返るということは、なかなかできないということも多かったですし。負けて悔しいと思うのはとても自然な気持ちなので、そういう気持ちを大切にした上で、なにより将棋が楽しいと思えることがいちばん大事なのかな、というふうに思うので。明日の大会でもそういった楽しいという気持ちをもって指してほしいな、というふうに思います」

(記者からの質問文は短くまとめ、適宜補足した)

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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