トヨタ、残り3分でルマンでの勝利を逃す。
2016年のルマン24時間レースは、劇的な幕切れとなった。
23時間57分までトップを走っていたトヨタTS050ハイブリッド5号車のドライバーだった中島一貴氏からの無線は、「ノーパワー」のひと言。
そしてこの言葉をもって、5号車はペースダウンしてホームストレートで停止。そこをその少し前に勝負を諦めてピットに入り、タイヤ交換をしてファステストラップを狙う作戦へと切り替えたポルシェ919ハイブリッドの2号車がトヨタTS050ハイブリッド5号車をパスしていったのだった。
筆者は昨年、トヨタのルマンへの挑戦を現地からレポートした。昨年は正直、非常に厳しい戦いを強いられていた。しかし今年は、昨年とは打って変わっての圧倒的な強さを見せており、世界中がその勝利を確信していたことは間違いない。
かりにトラブルがなく、残り3分を順調に過ごしていたとしたら、日本の自動車メーカーとしては1991年に総合優勝を果たしたマツダ以来、実に25年ぶりの総合優勝を果たすはずであった。また同時に、日本人ドライバーが乗る日本メーカーの車としては初の総合優勝をもたらす機会でもあった。
Jsportsにおける中継ではもちろんFacebook、TwitterなどのSNSでも、この衝撃的な結末に対するコメントが溢れかえった。
「これがレース」というのはその残酷さを表現するためによく聞く言葉であるが、今日のこの瞬間ほどこの言葉が恨めしく思えたことはないと感じた方は多いだろう。
筆者自身も日本人として、心から残念であり、あまりの悲しみに言葉がない。
しかし同時に、ルマンに君が代と日の丸が掲げられることを願い続けたい。