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ANA、ホノルル線に来春投入の総2階建てエアバスA380は520席に。マイルで取りやすくなる可能性大

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
来年春に3機導入するエアバスA380は全機特別塗装機となる(写真提供:ANA)

 ANA(全日本空輸)は、来年春より東京~ホノルル線に投入予定の総2階建て飛行機エアバスA380型機のシートと3機の機体デザインなどを発表した。

 座席数は全部で520席とし、ファーストクラス8席、ビジネスクラス56席、プレミアムエコノミー73席、エコノミークラス383席の4クラス設定となる。2階席(アッパーデッキ)は上級クラスであるファーストクラス、ビジネスクラス、プレミアムエコノミーを配置し、1階席はエコノミークラスとなる。全クラスで新シートが導入されるが、ファーストクラスはドア付きの個室型シートを採用し、ビジネスクラスには新たに中央席にペアシートを設置するほか、エコノミークラスを含む全席にPC電源とUSBポートを装備する。機内Wi-Fiサービスにも対応する。

ドア付きの個室型シートを採用したファーストクラス。シートモニターも32インチの立ったパネル式大型液晶ワイドスクリーンを採用(以下特記を除き写真提供:ANA)
ドア付きの個室型シートを採用したファーストクラス。シートモニターも32インチの立ったパネル式大型液晶ワイドスクリーンを採用(以下特記を除き写真提供:ANA)
ビジネスクラスには夫婦やカップルの利用も想定し、中央席を中心にペアシートを設置する
ビジネスクラスには夫婦やカップルの利用も想定し、中央席を中心にペアシートを設置する
足下も横幅も広いプレミアムエコノミーをANAでは過去最大座席数となる73席設置する
足下も横幅も広いプレミアムエコノミーをANAでは過去最大座席数となる73席設置する
最新の薄型軽量シートを採用したエコノミークラス。PC電源やUSBポートも完備している
最新の薄型軽量シートを採用したエコノミークラス。PC電源やUSBポートも完備している

バーカウンターや多目的ルームも設置へ

 また、全クラスにバーカウンターを設置し、利用者が好きな時にドリンクやスナックなどの軽食が食べられるエリアを設置するほか、お子様の利用が多いことを想定し、着替え・パウダールーム・授乳など多目的の用途で使える多目的ルームを設置するなど、空飛ぶホテルのような空間になる。

新しく、全クラスに設置される多目的ルーム
新しく、全クラスに設置される多目的ルーム

エコノミークラスにベッドになるカウチシートを導入

 今回特に注目すべき点として、1階のエコノミークラス後方には国内航空会社では初めて、カウチシート「ANA COUCHii(ANAカウチ)」を導入する(60席の設定)。カウチシートは、通常足下の部分のレッグレストを上げることによって、窓側席であれば3席、中央席であれば4席をベッドのように利用できるシートで、既にニュージーランド航空で同様のシートが導入されている。料金については、通常のエコノミークラス運賃に追加料金を払う形で利用できるそうだが、このシートであればお子様連れの場合など横になって快適な移動が可能になるというメリットがある。

エコノミークラスがベッドに変身する「ANAカウチ」
エコノミークラスがベッドに変身する「ANAカウチ」

3機全てが異なる色のハワイをイメージした機体に

 ANAのA380型機の機体デザインは全機(3機)が特別塗装機で運航される。2016年秋に公募され、世界中から応募があった2197作品の中から「ウミガメの家族」をコンセプトに「ハワイの青い海でゆったりとくつろぐホヌ(ウミガメ)の親子」を描いた作品が大賞に選ばれ、「空飛ぶウミガメ」という意味を持つ「FLYING HONU」という愛称に決定しており、3機のうち1機のデザインが発表されていたが、残りの2機のデザインも発表された。

 既に発表されているハワイの「空」をイメージしたANAブルーに加えて、ハワイの「夕陽」をイメージしたサンセットオレンジ、ハワイの「海」をイメージしたエメラルドグリーンの3カラーのA380型機がハワイに飛ぶことになった。

ハワイの「空」をイメージしたANAブルー
ハワイの「空」をイメージしたANAブルー
ハワイの「夕陽」をイメージしたサンセットオレンジ
ハワイの「夕陽」をイメージしたサンセットオレンジ
ハワイの「海」をイメージしたエメラルドグリーン
ハワイの「海」をイメージしたエメラルドグリーン

マイルで取りやすくなる可能性が大

 座席数が増えることで期待されるのは、ANAマイレージクラブで貯めたマイルを使っての特典航空券予約。A380導入後にはマイレージ特典航空券用の座席を増やすことをANAは明言している。現在、東京~ホノルル線に投入されているボーイング787-9型機は246席仕様(機材によっては215席仕様)となっており、A380型機が520席に決まったことで1便あたり現在の倍以上の輸送力となる。また、座席数が増えることで、従来よりも航空券が割安に販売されることも期待されているが、過去の会見でANA側もその意向を表明している。

ホノルル空港のANAチェックインカウンター(筆者撮影)
ホノルル空港のANAチェックインカウンター(筆者撮影)
ワイキキビーチ。特典航空券で気軽に行ける日も近い(筆者撮影)
ワイキキビーチ。特典航空券で気軽に行ける日も近い(筆者撮影)

 ANAの平子裕志社長は、昨年秋の筆者とのインタビューの中でホノルル線の特典航空券について「ビジネス旅客のお客様というのはマイルを貯め、そのマイルをどこで使うかというと、一番いいのはやはり飛行機に乗ってもらうということ。ただ、飛行機が混んでいて席(特典航空券)が取れないことが多く、その最たるものがハワイであった。A380は私どもがこれまで飛ばしていたボーイング767・787の倍くらいの座席数がある。お客様に貯めてもらったマイルをちゃんと使っていただきたい。使ってもらったらまた貯めていただきたい。その循環がないと実はお客様ってずっと長い関係を続けられないじゃないですかね。そこが大きいと思います」と話している。

 特典航空券で予約できる座席数が拡大されることは、今回520席というのが確定したことで間違いないだろう。ハワイへ出かけることを目指してマイルを貯める人が今後はより増えそうだ。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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